食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食品基準ニュース56

Food Standards News 56
April 2006
http://www.foodstandards.gov.au/mediareleasespublications/foodstandardsnews/foodstandardsnews56a3185.cfm
原産地表示、APEC食品安全合同ワークショップ、健康強調表示、乳製品一次生産加工基準、ヨウ素葉酸の強化、今後の行事予定、魚の種類のバーコード表示、募集中のパブリックコメント、その他食品関連ニュースなどについて。
最近ニュースになっている食品の問題についていくつか。
ソフトドリンク中のベンゼン
海外である種のソフトドリンクやジュースに低濃度のベンゼンが検出されたという報告がある。これは安息香酸ナトリウムアスコルビン酸の反応により生じたものと考えられている。検出されているベンゼンの量はWHOによる飲料水基準を下回る。
FSANZはオーストラリア各州や地域及びニュージーランド食品安全局と協力して、安息香酸塩とアスコルビン酸を含むソフトドリンクやジュースに同様の結果が観察されるかどうか調査している。もし安全上に問題があって対応が必要であれば飲料企業と協力して対応する。現時点ではFSANZの助言は、ソフトドリンクやジュースはバランスの取れた食事の一環として消費できるというものである。
輸入食品の安全性
チャンネル7のToday Tonightという番組で輸入魚が安全ではないと放送された。これは正しくない。輸入食品も国産食品も両方食品基準に従わなければならない。定期的に発行されている食品サーベイランスニュースでは輸入野菜やシーフードは国産品同様安全である。
トランス脂肪酸表示
現在オーストラリアでは、食品中のトランス脂肪酸は製造業者がコレステロールや飽和・不飽和脂肪酸に関する栄養強調表示をしている場合のみ表示が義務づけられている。しかしながら任意の表示は認められており、オーストラリアとニュージーランドの多くの食用油脂スプレッド製造業者は任意表示を行っている。
脂肪酸には大きく分けて飽和脂肪酸不飽和脂肪酸があり、トランス脂肪酸コレステロール量に影響することで健康に悪影響のある不飽和脂肪酸の一種である。低濃度のトランス脂肪酸はウシやヒツジなどの反芻動物の消化管で生じるため天然に乳製品や肉に存在する。またトランス脂肪酸は植物油の工業的加工や過熱などにより生じる。特に部分水素添加植物油由来のトランス脂肪酸の健康への悪影響についての懸念があるが、今日まで確固たる科学的根拠があるわけではない。米国やカナダ、EUなどで加工食品中のトランス脂肪酸限度を設定したり表示を義務づけたりしている。
FSANZはオーストラリアとニュージーランドでトランス脂肪表示が必要かどうか検討している。その作業の一貫として食品中の含量調査を行っている。我が国の食品中トランス脂肪酸濃度はそう高くないだろう。最終結果は数ヶ月以内に発表される。