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農薬暴露とパーキンソン病:相関関係はあるが因果関係はない

25.07.2006
http://www.bfr.bund.de/cm/218/pestizidexposition_und_parkinson_bfr_sieht_assoziation_aber_keinen_kausalen_zusammenhang.pdf
パーキンソン病はゆっくりと進行する神経変性疾患で年齢とともに増加する。その特徴はドパミン産生神経細胞の減少で、その結果として典型的な筋硬直や震えなどの症状が出る。病気の原因は不明である。加齢による神経の変性や遺伝要因の他に環境や栄養などの影響が議論されている。農薬もリスク因子の一つと疑われている。BfRは農薬とパーキンソン病の関連について評価を行った。
農薬とパーキンソン病の関連は二つの理由で議論されている。一つは疫学で、農薬暴露された集団とそうでない集団のパーキンソン病発症率を比較するものである。もう一つは農薬の生物学的作用がパーキンソン病発症と関連があるかどうかである。パラコートやロテノン、MPTPはモデル化合物としてよく調べられている。
疫学的調査では農薬暴露とパーキンソン病発症に関連があるという報告があるが、個々の農薬の種類が特定されていない。また個々の農薬がドパミン産生に影響するとしても実験結果から導かれるパーキンソン病発症要因としての生物学的蓋然性が充分でない。現時点では農薬暴露がヒトのパーキンソン病発症の原因となるとは言えない。



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