食品安全情報blog過去記事

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GM米の大西洋を横断した拡大を追跡する

Tracing the Transatlantic Spread of GM Rice
Science 22 September 2006 Vol. 313. no. 5794, p. 1714
科学者らは、米国とヨーロッパで微量の実験的品種の遺伝子組換え米がどうして商品に入ったのかを追跡している。農務省はこの米が健康上の脅威とはならないことを強調しているが、この拡大は導入された遺伝子を管理することが思ったより困難である可能性があることを警告している。
この品種LLライス601は1998年から2001年の間にいくつかの州で試験的に栽培されていた。この品種はアベンティスクロップサイエンスの販売していた広域除草剤耐性になるよう設計されていたが、思っていたほど良い結果が出なかったので2001年に実験は中止された。7月後半にバイエルクロップサイエンスがUSDAにアーカンサスとミズーリに貯蔵されていた商用長粒米に微量のLL601を検出したと報告した。2週間半後にUSDAがこの件を発表した際、米国の米価格は2日間で10%下落した。
9月11日にEUはヨーロッパで検査した162検体中33検体から微量のLL601を確認した。スウェーデンとフランスの当局も市販の米から微量の遺伝子を検出している。
何故これだけ遺伝子が拡散したのかは未だ謎である。米は花が咲く前にすら自家受粉するので風や昆虫が運ぶことによる交叉汚染リスクは比較的少ないと考えられている。試験栽培が行われていたルイジアナ州立大学のSteve Linscombeは、彼らは厳密にUSDA基準を守ったと述べている。しかしながら大学は2003年にルイジアナ州立大学で栽培されていたCheniere種の原種foundation seed米の中に「微量のLL601由来遺伝子」を検出したとも述べている。foundation seedは市販品の原種で、種子栽培農家に渡され、種子栽培農家が全国の農家に育てた種子を販売する。Linscombeは、大学が現在USDAと協力して、どうしてCheniere種の種子ストックの中にLL601遺伝子が入ったのか調査を行っていると述べている。