食品安全情報blog過去記事

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PCとビスフェノールA(Bisphenol A)に対する FAQ

(2006.10.20)
http://www.kfda.go.kr/open_content/kfda/data/food_main_news.php?hcode_news=017001000&seq=1
ポリカーボネート(PC)とは?
ポリカーボネート(PC)は耐熱性と透明性の高い合成樹脂として知られており、哺乳瓶や食品保管容器などの食品用以外にもCDなどの産業用に世界中で広く使われている材質で、原料物質が内分泌かく乱物質である可能性があるとされるビスフェノールAである。
・PCが材質の製品については韓国を含め日本や米国など諸外国でもビスフェノールAなどについての規格基準が設定されて管理されている。
PC中ビスフェノールAの国内外での基準は?
・現在韓国で規定しているPCの溶出規格は「ビスフェノールA(フェノール及びt-ブチルフェノールを含む)2.5 ppm以下」と規定している。
・ 日本でもPCを原材料にする器具及び容器包装について韓国と同様の溶出規格を設定している。アメリカは連邦規定集の食品用包装材の中にはPCの規格にビスフェノールAの溶出の項目はなく、PC製造の原料物質としては許可されている。
PC中ビスフェノールAの検査方法は
・ 国内で流通している食品用器具及び容器包装は食品衛生法第9条の規定に基づいて作成された食品公典第6・器具及び容器包装の規格基準のなかでPCを含む各材質別に規格基準が設定されている。試験は材質毎に規定された検査方法により行っている。
ビスフェノールAはPC製造の際に使用される原料物質として最終製品での溶出規格及び試験方法を規定している。つまりPC製品が使用される食品の種類により水や酸性溶液、エタノール、n-ヘプタンなどの溶剤を用いて60℃30分や95℃30分などの既定条件で溶出させてHPLCによりビスフェノールAを測定する。

PC中ビスフェノールAの検査結果は?
・ 当庁で1999年度にPC材質の哺乳瓶について、国内流通中の哺乳瓶からのビ スフェノールA溶出試験を行ったことがある。この時は溶媒として水を使用し60℃30分溶出させてビスフェノールAを測定したところ、全ての製品でビスフェノールAは不検出だった。また最近では電子レンジ調理による移行を調査するため、流通中の哺乳瓶に水を入れて電子レンジで1、2、3、4、5分間それぞれ加熱後に哺乳瓶中の溶液のビスフェノールA含量を測定したところ、全て不検出であった。
・ さらに最近海外で発表された論文に拠れば、PC材質の哺乳瓶にコーン油を いれて100℃で10日間加熱するという過酷な条件で実験した結果、実験に使用した製品のうち半分以上ではビスフェノールAは検出されなかったし、検出された量も安全水準以下の微量であった。(Food Additives and Contaminants,2005; 22(3):280-288,Dietary exposure assessment of infants to bisphenol A from the use of polycarbonate baby milk bottles.)
現在市中に流通しているPC製品は安心して使うことができるか?
・ 現在韓国では容器包装類製造者は同一材質毎に3ヶ月に1回以上材質別基準 規格検査を実施するようにしている。輸入される器具及び容器包装については輸入の際に管轄地方庁に届け出て材質別精密検査を実施し規格基準にあった製品だけが国内に流通するよう管理している。
・ 現行基準に合致した製品には安全性に問題はない。
・ ドイツ連邦リスク評価研究所BfRでも、現在までの科学的知見に基づきPCで作られた哺乳瓶を禁止する理由はないとしています。
なお乳幼児用哺乳瓶などには使用上の注意事項が記載されているので消費者はそれを守って使用して下さい。