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MON863トウモロコシのラットにおける90日間試験:健康リスクはない

20.04.2007
http://www.bfr.bund.de/cm/208/90_tage_studie_an_ratten_mit_mon863_mais.pdf
2006年1月にヨーロッパで遺伝子組換えトウモロコシMON863が食品及び飼料として認可された。認可に先立ちEFSAやAFSSAなどが安全性を評価し、ヒトや動物の健康や環境への悪影響はないと結論している。BfRも同様である。
2007年3月にMON863ののラットにおける90日間試験データの別の評価が"Archives OF Environmental Contamination and Toxicology"に発表された。
著者らは遺伝子組換えトウモロコシに毒性があることを見いだしたとし、EFSAが評価を依頼された。ここにBfRの立場を要約する。EFSAも欧州委員会に報告するであろう。

この90日試験はMON863の認可の過程でEFSAに提出されたものである。EFSAとフランスの当局が安全性を評価し、このデータからMON863のラットへの有害性は確認されていない
BfRはこの試験が基本的にOECDガイドラインに則ったものであり問題はないことを確認している。
血液や尿の生化学検査結果で対照群に比較していくつか−わずかな−統計学的有意差があった。
これらの差を評価するには市販のトウモロコシを食べた対照群や先に行われた試験の歴史的データなどとの比較が必要である。BfRの経験ではこれらの変化は通常の90日試験でみられる範囲で異常値ではない。さらに統計学的に有意であるとされた血液や尿の値は一定でもなく用量依存性もなく、組織に相応する変化も観察されていない。
従ってBfRは観察された統計学的有意差は毒性学的に意味のあるものではないと結論する。従ってBfRはセラリーニらの統計解析により先の評価結果を変更する必要はないと結論する。