食品安全情報blog過去記事

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上述のビスフェノールAの発表を伝えるニュース

Science NOWでは
良くあるプラスチック成分が懸念となるかもしれない
Common Plastic Ingredient May Be Cause for Concern
By Jocelyn Kaiser
8 August 2007
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2007/808/1?etoc
政府の専門家委員会が会合を行い、食品容器に広く見つかるホルモン様化学物質ビスフェノールAが胎児や子どもに神経系の影響を与えるかもしれないと結論した。この結論は多くの動物やヒトでの研究に基づくものであるが、使用禁止を支持するには至らず、「いくらかの懸念」を表明し、人々が暴露を減らしたいと思うかもしれないと付け加えた。
この結論は、環境保護主義者や一部の科学者には不満だった。この委員会が政府や大学や企業の科学者からなり企業よりであると非難している天然資源保護協議会は、この報告書はリスクを著しく過小に見積もっていると主張している。
ビスフェノールAは多くの食品容器に使われているプラスチックの成分で、食品に微量移行し多くの北米人の血中に検出される。検出される極微量(ppb)は1980年代にEPAが設定した安全暴露量を遙かに下回る。しかし10年前にミズーリ大学の神経生物学者Frederick vom Saalのグループが、極微量であってもいわゆる内分泌攪乱物質は妊娠マウスに与えると雄の子どもの前立腺に変化を誘発すると報告した。この実験は矛盾しており、企業の出資した研究では再現できなかったが専門家委員会はこの結果が有効であると結論した(2000年10月27日)。
その後多くの他の研究者たちが齧歯類で低用量影響を報告し、一部の疫学データがビスフェノールAとヒト健康影響との関連を示唆してきた。リスクを評価するために、NTPのCERHRは専門家委員会を設置し、3月と今週会合を開いて500以上の研究を評価した。
評価の結果、多くの低用量動物実験研究は、代謝を経ない注射による投与だったりの実験デザインに問題があるとして却下された。しかし6報については胎児期にビスフェノールAを投与された齧歯類で脳の構造変化や母親が子どもを舐める回数などの神経や行動上の影響が見られたことを認めざるを得なかった。動物でこうした影響が報告されたビスフェノールA濃度はヒト暴露量に近い。
専門家委員会は規制機関がどうすべきかについては諮問されていない。しかしながら予防原則が適用される時かもしれない、と専門家委員会の座長Robert Chapinは述べた。人々がビスフェノールAを含まない別のものをほしがるかもしれない。
それでも批判者は専門家委員会が多くの実験を無視したと非難している。彼らは昨年11月にワークショップを開催し、前立腺肥大や体が大きくなるなどの影響が動物で見られた量のビスフェノールAに人々が暴露されていると結論した。彼らの同意文書はReproductive Toxicologyに印刷中で「ヒトに有害影響がある大きな懸念がある」としている。


ACSH
BPAを使ったプラスチックボトルに関するビッグニュース:それらはそれでも安全
Big News About Plastic Bottles with BPA: They're Still Safe
August 10, 2007
By Gilbert Ross, M.D.
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.1018/news_detail.asp
NTPによる新しい報告書は活動家EWGのビスフェノールABPA)についての終わりのない警告を一時的におとなしくさせるだろう。
BPAは何十年もの間安全に使われてきた。大人でも子どもでも胎児でも、ヒトの病気と関連するという根拠は一欠片もない。このことはEWGやその他の同類のアラーミスト環境保護主義者たちのBPA禁止要求を止めさせることはなかった。
ACSHは通常の暴露で健康への脅威はないということを確認する研究を発表している。
今回NTPの後援による専門家委員会が我々の知見を確認した。
EWGはNTPの専門家委員会が企業の影響を受けて堕落したと主張している。思うに、科学的根拠を無視する人々は、NTPの委員よりEWGの反科学物質活動家の方にきっと多いだろう。