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ステロイドでホームランが劇的に増えるかもしれない

Batters may achieve dramatic increases in home runs through steroids
19-Sep-2007
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-09/tu-bma091907.php
タフツ大学の物理学者Roger Tobinによれば、打ったボールのスピードが4%増えるとホームランが50%増える
大リーグの強打者によるステロイド使用は筋肉量増加やバットやボールのスピードには限られた効果しかないかもしれないが、ホームランの数は50%以上増やせる。
Tobinは凝縮系物理学の専門家で、長いこと野球の物理学に興味があり、 American Journal of Physicsの次の号に"On the potential of a chemical Bonds: Possible effects of steroids on home run production in baseball"という論文を発表する。
Tobinの論文によれば、ベイブ・ルースの1シーズン60本のホームラン記録は、1961年にRoger Marisが61本を打つまで34年間も破られなかった。その後さらに35年間、1シーズンに52本以上のホームランを打った選手はいなかった。しかし1998年から2006年の間に1シーズン60本以上のホームランが6回記録されている。2001年にはBarry Bondsが73本のホームランを打ち、Marisの記録を20%も上回った。
Tobinによれば、ホームランの数の増加は、スポーツ界における1990年代半ばの「ステロイド時代」の夜明けと一致している。そしてこの増加は大リーグがステロイド検査を行うようになった2003年に急に過去のレベルにまで低下した。
ホームラン数の増加は筋肉増強ステロイドの使用疑惑の原因であったが、多くの人は何故ホームラン数が特に増えるのか不思議に思っていた。これがステロイドの影響であるという可能性はあるのか疑っていた。その答えはイエスである。
Tobinによれば、打ったボールの平均スピードがわずか数パーセント変わるだけで、ホームランの数は50%増加する。ステロイドの使用により筋肉量が10%増加すると、バットの球に当たるときのスピードは約5%増加し、当たった球がバットを離れるときのスピードは約4%増加する。もし4%ボールスピードが増加すると、ホームランの数は50-100%増加する。
投手についてもステロイド使用による球速の増加はあるが、それによるホームランの数ほどの劇的効果はない。
「物理学は特定のホームランがステロイドのおかげかどうかは同定できない。また類い希な個人の能力がステロイドの不正使用を意味するわけでもない。これらの結果は最近の成績が薬により汚染されたものであることを証明しているわけではない。しかし一部の疑惑には根拠があることを示唆している」とTobinは述べている。