食品安全情報blog過去記事

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消費者製品中PAHsはできる限り削減すべきである

PAHs in consumer products should be reduced as much as possible
11.10.2007
http://www.bfr.bund.de/cm/230/pahs_in_consumer_products_should_be_reduced_as_much_as_possible.pdf
多環芳香族炭化水素(PAHs)はガソリンやタバコや食品などの有機物の不完全燃焼時に生成する化合物の混合物である。PAHsはヒトが呼吸や食事などから取り込む環境化学物質の一種である。一部のPAHsには変異原性、生殖毒性、ヒトと動物への発ガン性などがある。1980年代に米国EPAは環境中に良く検出される16のPAHsのリストを作成した。そのうちベンゾ[a]ピレンを参照化合物とし、環境中ベンゾ[a]ピレン濃度を指標に総PAHsの暴露量を評価している。
2005年にドイツの製品検査NGOであるStiftung Warentestがある種の工具のハンドルやケーブルのさやから高濃度のPAHsを検出した。これら製品を使用することによる健康リスクを削減するため、製造業者は、技術的に避けられない最小PAH濃度のガイドライン値を提案した。そして製造業者は任意でこの値を超えないことに同意した。BfRはこのガイドライン値を評価するよう要請された。
各種のドイツの検査機関から提供された分析結果を解析し、BfRは工具のハンドルやケーブルのさやで提案されたガイドライン値が守られていると結論した。
しかしながらこのガイドライン値は他の消費者製品には単純に当てはめることはできない。製品により避けられないPAHs濃度は異なる。製品を製造する際に重要な技術的問題の他に、消費者への暴露レベルも考慮しなければならない。
問題なのは製品に含まれるPAHsの量ではなく、放出されたり溶出したりして人体に取り込まれる量である。一般論として、PAHsの発ガン性には健康リスクの可能性が除外できる閾値がないと推定されているため、製造業者には製品中PAHs濃度をできる限り下げるよう薦める。