食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

2007年11月15日のCOC会合

COC meeting 15 November 2007
7 November 2007
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/coc/meetings/coc151107.htm
議題
・前回の会合の議事録
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/wpmin120707.pdf
一部MOEについての部分抜き出し
遺伝毒性発がん物質に暴露された場合のリスクコミュニケーションにMOEアプローチを用いることについて。
COC委員は、リスク管理者が遺伝毒性発がん物質のリスクについて優先順位をつけたり一般にそのリスクを伝えたりする場合に暴露マージン(MOE)アプローチを使うことには概ね合意した。CC/07/08ではこの考え方を発展させてMOEの範囲をいくつかに分類してそれぞれの分類毎に健康リスクについての説明を加えるることを試みた。COCはこの試みについて意見を求められた。
COCの役割はリスクコミュニケーションではないと考える委員もいたが、総じてこの問題についてCOCが意見を出すのは有用であろうと考えられる。MOEは化学物質のヒト暴露量と、腫瘍発生頻度が対照群より10%増加するベンチマーク反応に相当するベンチマーク用量下方信頼限界(BMDL10)との比であり、EUのSCFやJECFAではMOEが10,000以下の場合は懸念があり、10,000より大きい場合は懸念が小さいとしている。さらに100万以上のMOEについて分類することには保留の意見もあったがリスクコミュニケーションには役立つであろうとされた。それぞれのリスク分類にあてはまる例を出して、そうした分類がリスクコミュニケーションに役立つかどうか評価するのが良いであろう。
MOEはハザードのランキングツールであり、分類の説明には「リスク」という単語は使うべきではない。分類の名前としては「懸念がある可能性がある(<10,000)」「懸念はありそうにない(10,000-1,000,000)」「懸念は全くありそうにない(>1,000,000)」というものが提案された。

・新規:ホルムアルデヒド葉酸

・塩素処理した飲料水とがんについてのワーキングペーパー案
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc0719.pdf
1. 英国や北米など多くの国では飲料水の安全性確保のため塩素処理を行っている。1970年代半ば、分析技術の進歩により飲料水中から微量の塩素化副生成物(CBPs)が検出された。各CBPsの濃度は通常1 ppb(1 microg/L)未満であるが、一部にトリハロメタンなどが10-100 microg/Lの濃度で検出されることがある。何種類ものCBPsが同定されているが、その多くは検出されていない。
2. 一部のトリハロメタンなどCBPsの中には実験動物に大量に投与した場合に発がん性のあるものがある。また一部は実験系で遺伝毒性がある。飲料水の塩素処理とヒトがんの関連に関する疫学調査や、CBPsの変異原性や発がん性に関する実験研究は数多い。1986年に大気・土壌・水中汚染物質の医学的問題に関する保健省委員会(CASW)がデータをレビューし、飲料水の塩素化副産物によりヒトがんリスクが増加しているという根拠はないと結論した。COCはさらに1992年と1999年に疫学研究を、1996年に動物実験データをレビューした。
1996年にCOCは実験動物で発がん性がある最小用量はヒトが飲料水から暴露される量の1万倍以上であり、ヒトの発がんリスクとはなりそうにない、と結論している。1999年には、新しい疫学研究は塩素処理した水とヒトがんの関係を示していない、と結論している。
3. 1999年のレビュー後、13の疫学研究が新たに発表されたので、今回 1999年の結論を変更する必要があるかどうか諮問された。
15.結論 1999年以降に発表された疫学論文でも塩素処理した水とヒトがんの関係に関する説得力のある根拠は提供されていない。膀胱がんとCBPsについては限られた根拠があるが、その相対リスクは小さく暴露評価に交絡因子がある可能性があることから確実とは言えない。
16. CBPsとがんの関連はあったとしても小さいであろう。飲料水の殺菌効率に影響することなくCBPsの濃度を最小化する努力は続けるべきである。

・MOEアプローチについてのさらなる検討
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc0714.pdf
遺伝毒性発がん物質のリスク管理について。例として6価クロム、ベンゾ(a)ピレン、1,2-ジクロロエタンなどを取り上げている
ヒトの食品からの摂取量推定に基づき、ベンゾ(a)ピレンのMOEは130,000-7,000,000、クロムは9,100 - 90,000である。1,2-DCEの食品からの摂取量は無視できる。この結果を先の会合の結果である分類に当てはめると、ベンゾ(a)ピレンの食事由来の長期暴露は「懸念はありそうにない」で、クロムは「懸念がある可能性がある」になる。分類とは関係なく、食品由来のベンゾ(a)ピレンについての懸念はクロムより小さい。
飲料水や大気、室内空気からの暴露についてはいずれの化合物についてもMOEは大きな値であった。

非ホジキンリンパ腫について
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc0715.pdf
非ホジキンリンパ腫が英国で全年齢層で増加しているが、その原因として診断基準の変更や報告率の増加もあるが、実際に増えている可能性もある。
リスク因子としては感染が主であるが、農薬や有機溶剤などの化学物質が疑われることがある。しかし信頼できる根拠はない。
など