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ホルムアルデヒド:全身変異原性についての根拠

FORMALDEHYDE: EVIDENCE FOR SYSTEMIC MUTAGENICITY
26 November 2007
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/com/formalde.htm
ホルムアルデヒドは世界中で大量に生産され使用されている化学物質で、天然にもほとんどの生物の体内や環境中に存在する。最近IARCがヒト発ガン物質(グループ 1)に分類した。ホルムアルデヒドがヒトの鼻咽頭がんを誘発するという十分な根拠がある。IARCワーキンググループは「ホルムアルデヒドの職業暴露と白血病の因果関係には十分ではないが強い根拠がある」と結論したため、一部で議論がおこった。IARCワーキンググループは可能性のあるメカニズムとして、血球での染色体異常誘発を挙げている。
そこでCOMはホルムアルデヒドの吸入暴露による全身変異原性について検討するよう依頼された。
ホルムアルデヒドに変異原性があることについては特に評価する必要はない。 変異としては点突然変異、染色体異常、姉妹染色分体交換、DNA鎖切断、ラット鼻甲介細胞でのUDSなどがある。ここでは吸収されたホルムアルデヒドのトキシコキネティクスとin vivoでの全身変異原性についての根拠をレビューする。


吸収されたホルムアルデヒドの動態

実験動物での研究
ラットとアカゲザルでの吸入試験データがある。吸収されたホルムアルデヒドのほとんど( 91%)は中間代謝代謝経路に取り込まれ、一部がDNA-蛋白質架橋(DPX)(ca £9%)を形成する。これらの研究で血中ホルムアルデヒド濃度は増加していないことに注意。ラットの鼻腔DNAにホルムアルデヒド共有結合するという証拠はあるが骨髄に結合するという証拠はない。

ヒトトキシコキネティクスモデル
多くの研究グループが吸入暴露されたホルムアルデヒドの取り込みと分布モデルの作成を試みている。これらの研究では職業暴露基準程度(2 ppm 8時間)で暴露された場合、血中ホルムアルデヒド濃度は内因性ホルムアルデヒドの0.1%未満であろうと結論している。つまり内因性ホルムアルデヒドの濃度が約0.1mMに対して暴露由来の濃度は約 0.0001 mM。
従ってCOMは発がん標的臓器への吸入由来ホルムアルデヒド暴露は、内因性ホルムアルデヒドに比べて無視できる量であると結論した。

In vivo全身変異原性の可能性
実験動物での研究
吸入や腹腔内投与による小核形成や骨髄染色体異常などのin vivo試験の結果は圧倒的に陰性である。

他の接触部位のin vivo変異原性試験
COMはホルムアルデヒド接触部位でのin vivo変異原性誘発物質であることには同意する。

ホルムアルデヒド暴露のバイオモニタリング研究
ホルムアルデヒドの製造や使用に関わった人々のバイオモニタリングデータについて検討した。バイオモニタリング研究の質が悪く、意味のあるデータはない。

結論
労働環境基準レベルで吸入暴露されて全身に分布するホルムアルデヒドの濃度は無視できる。
ホルムアルデヒド接触部位での直接作用性変異原性物質である。吸入されたホルムアルデヒドがin vivoの全身変異原性物質であるという説得力のある証拠はない。
ホルムアルデヒドの職業暴露や環境暴露については、in vivo全身変異原性に閾値があるようだ。