食品安全情報blog過去記事

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科学的根拠が不確実なときに助言すること

Giving advice when the science is uncertain
January 23rd 2008
Andrew Wadge
http://www.fsascience.net/2008/01/23/giving_advice_when_the_science_is_uncertain
科学的根拠が明確であるときにどのような助言をすべきかを検討するのは簡単であるが、しばしばあることだが、根拠が不完全だったり矛盾したりするときに助言を検討するのは難しい。特に困難な問題の一例が子どもがピーナッツアレルギーになるかもしれないと心配している母親に向けた助言である。
現在の政府の助言は、アレルギー疾患(喘息や湿疹や食物アレルギーなど)の家族暦がある場合は妊娠中・授乳中及び子どもが3才になるまでピーナッツを避けるべき、というものである。この助言は1998年時点で入手できた根拠から導いた予防的なもので、当時は子どもが生まれる前又は授乳中にアレルゲンに暴露されてピーナッツアレルギーになるのではないかと考えられていた。
しかしながら、最近の研究では、食物アレルゲンへの耐性獲得のためには初期のアレルゲンへの暴露が重要かもしれないという根拠が出てきた。最近のFSAの出資した研究で、子どもがピーナッツを食べていない場合、家族がピーナッツを食べたことによる環境中のアレルゲンによりピーナッツに感作されることが示唆された。
現在FSAは新しいプロジェクトでピーナッツへの耐性獲得とアレルギーのメカニズムを検討している。この研究はこの問題に関するより明確な知見を得るのに役立つであろうが完了までに数年かかる。我々は今年末までに助言を改定すべきかどうかについて科学的根拠を精査中である。それまで現在の予防的助言は有効である。
このことは不完全で矛盾する根拠から政策を決定することの難しさを明らかにする。同時に、何故私が科学と公衆衛生政策の仲立ちとして働くことが面白くて魅力的だと思っているかも明らかにする。