食品安全情報blog過去記事

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急性膵炎におけるプロバイオティクスによる予防

The Lancet 2008; 371:651-659
Probiotic prophylaxis in predicted severe acute pancreatitis: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS014067360860207X/abstract

エディトリアル
プロバイオティクスに賛成か反対か?
The Lancet 2008; 371:624
Probiotics or con?
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673608602755/fulltext
先週オンライン発表された二つの無作為化試験がプロバイオティクスのサプリメントとしての役割に関する議論を活発にさせるであろう。プロバイオティクスに関するこれまでで最大規模のオランダ急性膵炎研究の結果はLancetに発表され、プロバイオティクス群で対照群より死亡率が増えた。一方British Journal of Sports Medicineに発表された研究では、別系統の乳酸菌が20人の遠距離ランナーの呼吸器感染頻度を半減させた。
これらの結果を、世界レベルのアスリートでもなく急性膵炎でもない英国の200万人の定期的にプロバイオティクス製品を摂っている人々にどう当てはめるのかは明確ではない。プロバイオティクスに効果があるという研究の多くは病院での特定の病気に関するものである。違う系統の場合や普通の消費者に対する作用メカニズムは不明である。実際宣伝されている健康上のメリットがあるかどうかは米国のカリフォルニアでは裁判になっている。
安全性と有効性に関する研究はさらに行われるであろうが、一方最早プロバイオティクスにリスクがないとみなすことはできないので、WHOのプロバイオティクスが健康上利益があるという定義は修正する必要があるかもしれない。