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アトラジンのアフリカツメガエルへの影響は再現できない

ES & Tニュース
Atrazine effects in Xenopus aren't reproducible
April 9, 2008
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2008/apr/science/rr_atrazine.html
カリフォルニア大学の比較内分泌学者Tyrone Hayesらが、有名な雑誌に連続して発表した極めて微量のアトラジンによるオタマジャクシの性腺異常に関する報告が再現できなかった。
Hayesらは0.1ppbという低濃度のアトラジンの内分泌攪乱作用を2002年PNAS、 2003年EHPに発表していた。2003年にアトラジンのメーカーであるシンジェンタが出資した研究ではそのようね影響は見られず、EPAの科学助言委員会は2003年に実験の欠陥を指摘していたが、Hayesらは委員会がシンジェンタの味方をするバイアスのために歪められていると主張し、アトラジン使用禁止キャンペーンを活発に行っている。
Aquatic Toxicologyに発表される新しい研究では少なくともアフリカツメガエルではアトラジンの影響は再現されなかった。日本の井口泰泉らが2種類のアフリカツメガエルのオタマジャクシに0.1-100 ppbのアトラジンを暴露したが雌雄同体のカエルは見られず、アロマターゼ活性の上昇やビテロゲニンの増加なども見られなかった。



Hayes博士のアトラジン反対サイトでは彼は「野生動物を守るためにシンジェンタという巨悪に立ち向かう正義の味方」になっている
http://www.atrazinelovers.com/t1.html
それと同じ主張がこのへん↓に見られる
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/rachel/rachel_05/rehw_824.html
ばりばりの陰謀論
日本の検索上位サイトを見てみたけれど、アトラジンはカエルをメス化するという記事ばかりで、EPAの科学助言委員会の話すら出てこない。
EPAのサイトは以下
Atrazine Updates
http://www.epa.gov/pesticides/reregistration/atrazine/atrazine_update.htm
アトラジンが両生類の性器発達に有害影響を与えることはなく追加の研究も必要ないと結論している。