食品安全情報blog過去記事

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英国食品中のヨウ素濃度についての調査結果

Survey results on iodine levels in UK foods
Monday 16 June 2008
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2008/jun/iodinesurvey
FSAは英国で製造された乳製品や海藻ベースの食品中のヨウ素濃度調査の結果を発表した。調査の結果、これらの食品中のヨウ素濃度は小さい子どもを含む消費者に健康上の懸念はない。
ヨウ素は海水や岩や一部の土壌に含まれる微量元素である。天然に乳中にも存在する。その他の食品中のヨウ素濃度は動物の飼料や乳業で使用される衛生用製品中にどれだけあるかによって影響される。
英国で販売されている乳(ウシ、ヤギ、ヒツジ)・卵(あひる、ガチョウ、ニワトリ、ウズラ)・チーズ・ヨーグルト・市販の海藻など合計350検体について調査を行った。
牛乳は全ての検体で0.30-1.00 mg/kgと低濃度のヨウ素を含んでいた。ヤギやヒツジの乳の一部には僅かに高い濃度検出された。最も高濃度だったのはヤギ乳で1.3 mg/kg、ヒツジ乳で4.6 mg/kgだった。検査したのは比較的少数であるためこの結果に統計学的有意差はない。
北アイルランドの供給業者由来の海藻1検体から非常に高濃度のヨウ素(検出限界2,400 mg/kg以上;昆布)が検出された。FSA北アイルランドは地元当局に通知してさらなる解析を指示している。
調査結果の詳細は以下。
RETAIL SURVEY OF IODINE IN UK PRODUCED DAIRY FOODS http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/fsis0208.pdf
個別の商品名と検査結果が掲載されている


背景
ヨウ素甲状腺機能に必須で健康に必要なものである。ヨウ素の摂りすぎは甲状腺機能亢進をもたらし甲状腺ホルモンを過剰に作り出す。その結果甲状腺が肥大し甲状腺腫になる。しかしながらこの調査で検出された量では甲状腺機能亢進にはなりそうにない。
乳中のヨウ素含量は季節変動があり、夏に低く冬に高い。卵ではそのような傾向はない。
ビタミンやミネラルに関する専門家委員会は総ヨウ素暴露量の上限ガイダンス量を60kgの成人で0.9 mgとしている。一部の消費者、特に子どもでは通常の食品からの摂取でこの値を超過する可能性がある。しかしながらCOTは2000年に牛乳中のヨウ素濃度はたくさん牛乳を飲む子どもでも健康上のリスクとはなりそうにないと結論している。


(乳製品中ヨウ素濃度は海藻の数千分の1程度。日本人の場合はほぼ全員が上述のガイダンス量を超えているのでは。原因は昆布。隠し味としても使われているのでMSG無添加とかいって昆布粉末使っている商品には多かったりする。たまに摂りすぎで中毒症状が報告されている。
Iodine-induced hypothyroidism as a result of excessive intake of confectionery made with tangle weed, Kombu, used as a low calorie food during a bulimic period in a patient with anorexia nervosa.
Matsubayashi S et al.
Eat Weight Disord. 1998 Mar;3(1):50-2.)