食品安全情報blog過去記事

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特定栄養目的で食品に添加又は食品サプリメントを含む一般人向け食品用のセレン源としてのセレンに富む酵母 AFCパネルの意見

Selenium-enriched yeast as source for selenium added for nutritional purposes in foods for particular nutritional uses and foods (including food supplements) for the general population - Scientific Opinion of the Panel on Food Additives, Flavourings, Processing Aids and Materials in Contact with Food
22/07/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902015350.htm
先にSCFパネルがセレンの耐容上限摂取量については意見を提供している。この意見はセレンの特定供給源としてのセレン酵母の安全性と生物学的利用度についてのもので、セレンそのものについては対象としていない。
セレンに富む酵母の中の主なセレンはセレン含有アミノ酸であるセレノメチオニンで総セレンの約60-85%を占める。次にセレノシステインが2-4%、無機セレンイオン(IV)は通常1%以下である。
セレン酵母は亜セレン酸ナトリウム存在下で培養して作られ、乾燥したものとして市販されている。セレン含量は2.5mg/gを超えない。セレノメチオニンが総セレン量の60-85%でセレノシステインを含むその他の有機セレン化合物は10%を超えない。無機セレンは1%を超えう、セレン酵母中の無機セレンは安全上問題とはならない。
セレノメチオニンはその他の有機セレン化合物同様消化管から容易に吸収される。特にセレン欠乏食の場合、生物学的利用度は無機セレン化合物の1.5-2倍になる。
セレノメチオニンは吸収された後にセレノシステインなどの活性形態に代謝されるかメチオニン代謝経路に運ばれてセレノ蛋白質として貯蔵される。L-セレノメチオニン半減期(252日)は無機亜セレン酸の半減期(102日)より長いことから体内プールに長く貯蔵されることが示唆される。セレノメチオニン又はセレン酵母を添加し始めて6-12ヶ月で定常状態になる。
セレンは慢性毒性があり、セレン中毒の報告もある。慢性セレン中毒の摂取量は3200-6990 microg/日(平均4990 microg/日)の範囲である。中毒が見られない摂取量は240-1510 microg /日 (平均750 microg /日)の範囲である。セレンの多い土地に住む集団での健康調査では毒性のでない最高用量は約800 microgで、1000 microg以上だと有害影響がでる可能性がある。
授乳中の女性のデータでは母親が緩衝作用をするため乳児が過剰なセレンをとることは防げる。
有機セレンは生物学的利用度が高いにも関わらず実験動物での研究では無機セレンより毒性は低い。臨床研究ではセレン酵母によるセレン摂取量343microg/日、血中セレン濃度 441 microg/Lで4年以上で毒性は見られていない。
サプリメントに添加されるセレン酵母の量は30-200 mgでセレンの量としては1日50-200 microgとなる。特定栄養目的で食品に添加される場合の添加セレン量は50 microg/日以下である。
ヨーロッパ人のセレンの平均一日摂取量は27-70 microg/日で、肥料にセレンが添加されているフィンランドで高い。食事からの平均セレン摂取量を30-70microg/日とみなして100 microgのセレンを含むサプリメントを摂るとすると摂取量は130-170 microg/日になる。サプリメントから200 microgを摂ると高摂取群では耐容上限摂取量を超える可能性がある。
申請されたセレン酵母のうち5種については含まれるセレンの分子種などについての情報が充分あるが、2種については不十分である。性質のわかっている製品については提案された摂取量で安全上の懸念はない。