食品安全情報blog過去記事

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古きを捨て

Out with the old
Andrew Wadge
December 30th 2008
http://www.fsascience.net/2008/12/30/out_with_the_old
科学とメディアは奇妙な同僚で複雑な関係がある。いつも科学者はジャーナリストが科学的にしっかりしていない研究を見出しで大きく伝えたり研究の都合の良い一部のみを抜き出して残りを無視したりして科学を間違って伝えることを嘆く。科学者にとって入手できる情報の全てをレビューしないことや研究の方法論やデータを吟味しないことは腹立たしいだけである。
だから私は、BMJに掲載されたの記事がメディアに注目されていくつかの冬の神話の偽りを暴いたことを嬉しく思う。BMJインディアナ大学の研究者がクリスマスに関連するいくつかの神話の根拠をレビューした記事を掲載したのだ。この記事は確かに一部の注目を集めたが、科学にとっては年末のほんの僅かの勝利でしかない。
FSAにとって最も関係のある問題は砂糖についてである。保護者が何と言おうと、砂糖の多い食品を食べると子どもが多動になることを示唆する根拠はない。このことは2006年の我々独自の研究でも同じである。2006年に我々は、学齢期の子どもの食事と栄養の学業成績への影響を調べたより広範なレビューの一環として、砂糖と多動に関する根拠について系統的に検討した。インディアナ大学の研究者と同様、短期的な砂糖の摂取と多動の関連を示す根拠はなかった。我々の見解は、子どもの行動への影響ではなく、砂糖を多く含む食品はカロリーが高いことと虫歯の原因になることから保護者は子どもの砂糖の摂取量に注意するべきだというものである。さらにポインセチアが実際に毒ではなくてもポインセチアを食べるべきだと言うつもりはない。
みなさんに良い年を願ってペンを置こう。2009年にも面白いブログの記事を書いて皆さんと議論し続けられることを楽しみにしている。2008年の最後にちょっとだけ役に立つことを教えよう−一部の酒飲みには悪いニュースでBMJで既に報告されているように、悪酔いを予防したり治療する方法に科学的根拠のあるものはない。ご注意を。


食事と成績についての報告書は以下
http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/systemreview.pdf
2006年に紹介済み (朝ご飯についても根拠なし−バランスの取れた栄養が必要なのは当然として、それが朝ご飯を食べる必然性につながるかというと必ずしも根拠はないということ)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20060707#p12
BMJの記事は以下
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20081218#p2