食品安全情報blog過去記事

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試験管ベビーが生まれか育ちかをはっきりさせる

Science NOWより
Test Tube Babies Shed Light on Nature Versus Nurture
By Sara Coelho
3 February 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/203/3?etoc
生物学において最も議論となる質問が、我々を形作るのは遺伝子か環境かということである。この議論は胎児にまで及び、胎児の時の環境が親から受け継いだ遺伝子同様重要かどうかが議論されている。
科学者は胎児の遺伝影響と環境影響を区別する賢い方法をみつけた。それは体外受精IVF)で生まれた赤ちゃんと、その赤ちゃんと遺伝的に関係のない母親について調べることである。
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのFrances Riceらのチームは、妊娠中の喫煙と関係する二つの形質、出生時の低体重と反社会的行動に注目した。専門家はタバコの煙に含まれる一酸化炭素が低体重出産につながると信じているが、かんしゃく持ちや不服従といった性質が遺伝か環境かについては意見は二分されている。研究者らは英国で1994年から2002年にIVFで生まれた約800人の子どもの記録を調査した。そのうち約1/4が母親とは遺伝的関連のない子どもで、約6%の母親が妊娠中に喫煙していた。
PNASに今週オンライン発表された論文によれば、母親との遺伝的関係とは関係なく、喫煙者の赤ちゃんは出生時体重が11.4%軽かった。この知見は出生時体重が胎児の時の化学的環境に依存するというこれまでの研究に一致する。
反社会的行動との関連については、保護者にアンケートを行って調査した。最大スコアが10の不作法スコアで、平均は1.86で全国平均と同じであった。しかし喫煙していた母親の子どもは平均2.40であった。遺伝的関係がある親子と無い親子で比較すると、遺伝的関係のある喫煙母の子どもは2.54、遺伝的関連の無い喫煙母の子どもは1.77であった。これはかんしゃくやけんかや嘘つきは胎児期の喫煙より遺伝子の影響が強いことを意味する。
但し著者は確実なことを言うには喫煙母の数が少なすぎることに注意を喚起している。