食品安全情報blog過去記事

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100万人女性研究でたとえ少量のアルコールでもがんリスク増加と関連することが示された

Million women study shows even moderate alcohol consumption associated with increased cancer risk
24-Feb-2009
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-02/jotn-mws021909.php
JNCIに2月24日オンライン発表された報告によれば、女性の低−中程度のアルコール摂取はがんリスクの増加と関連し、乳・肝・直腸・上部気道消化管合計のがんの約13%に寄与する。
英国の中年女性1280296人が参加した100万人女性研究のデータ。この研究の平均飲酒量は1日1杯で英国や米国では典型的なものである。1日に3杯以上の人は極めて少ない。平均フォローアップ期間7年以上で68775人ががんと診断された。アルコール摂取量が増えるにつれてあらゆる種類のがんのリスクが増加した。また喫煙女性では口腔や咽頭喉頭食道がんリスクが増加した。飲むアルコールの種類は関係なかった。
1日あたりの飲酒量が1杯増えると75才までの女性の乳がんについては1000人あたり11人追加のリスクとなり、その他のがんを合わせて15人の追加となる。
エディトリアルではMichael Lauerが、適度のアルコール摂取は心血管系疾患リスクを下げるメリットがあるという疫学調査があるが、この研究で示された過剰の発がんリスクはそのメリットを上回る。がんについてはメッセージは明確で、安全なアルコール摂取量というものはない。
Allen N et al. Moderate Alcohol Intake and Cancer Incidence in Women.
J Natl Cancer Inst 2009;101: 296-305
Editorial: Alcohol, Cardiovascular Disease, and Cancer: Treat With Caution.
J Natl Cancer Inst 2009;101: 282-283
(お酒は適度に、は取り下げかな。女性は特に、心血管系リスクは男性より低く妊娠中の胎児への悪影響もあるので、飲まないに越したことはない。)