食品安全情報blog過去記事

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EFSAは天然キノコのニコチンによる健康リスクを評価

EFSA assesses health risks linked to nicotine in wild mushrooms
11 May 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902521199.htm
生の野生キノコにニコチンが最大0.5 mg/kg存在することによるリスクを評価し、安全ではないと結論した。汚染キノコを食べることによる有害影響はあったとしても軽く短時間のものであろう。
何故キノコにニコチンがあるのかは明確ではないが、農薬の使用や乾燥時の事故による汚染などの可能性がある。
リスク管理者の助けとなるような消費者保護のための安全量を設定するため、EFSAは既存の食品中残留農薬のMRL設定方法を使った。ニコチンのMRLとしては
0.036 mg/kgを提案した。不確実性が大きいため、この値は暫定的なものとみなすことを薦める。

  • 野生のキノコにニコチンが存在することによる公衆衛生上のリスク

Potential risks for public health due to the presence of nicotine in wild mushrooms
11 May 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902521498.htm
欧州委員会は乾燥野生キノコに0.01 mg/kg以上のニコチンが含まれる可能性があるという情報を伝えられた。情報によれば2008年産の検体の99%が産地に関わらず0.01 ppmという現行のMRLに合致しなかった。原因はよくわからない。
ニコチンはタバコに天然に2-8%含まれるアルカロイドで、トマトやナスやピーマンやジャガイモなどの他のナス科の植物にも検出される。
ニコチンは殺虫剤として使用されている。ヨーロッパ諸国ではニコチンを含む農薬の使用は2010年6月までに廃止されているが、他の国では使用し続けている可能性もある。
EFSAはニコチンの急性参照用量(ARfD)を、ヒトでのニコチンの静脈内注射による一時的な心拍数の増加のLOAEL 0.0035 mg/kg体重に不確実係数10と経口による修正係数0.44を採用して0.0008mg/kg体重と設定した。ニコチンは体内に蓄積せず生物学的半減期は短いため、ADIはARfDと同じ0.0008mg/kg体重/日とした。
乾燥キノコから検出された濃度は0.21-9.9mg/kgで、湿重量換算では0.023-1.1 mg/kgに相当する。消費量は最も多いイタリアの食用キノコカテゴリーを用いた。
これらのデータから平均ニコチン濃度0.23 mg/kgを用いるとADIを充分下回るが、95パーセンタイルニコチン濃度0.53 mg/kgを用いるとイタリア成人での摂取量が0.0017 mg/kg体重/日となりARfDを2倍超過する。イタリアの子どもでは4倍になる。従って0.53 mg/kgの残留レベルは安全であるとはみなせない。
消費者にとって安全と見なせるMRLは、生のキノコで0.036 mg/kg、乾燥キノコでは1.17 mg/kgである。