食品安全情報blog過去記事

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JNCI 5月12日号

JNCI May 12 issue tip sheet
12-May-2009
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-05/jotn-jm1050709.php
ホルムアルデヒド暴露は血液とリンパ系の悪性腫瘍のリスクと関連する大規模コホート研究により比較的高濃度のホルムアルデヒドに暴露されたヒトは、低レベル暴露の場合に比べて血液とリンパ系の悪性腫瘍による死亡率が高い。
25619人の職業暴露されたヒトを含むNCIのホルムアルデヒドコホートでは、 1994年にフォローアップした前回、白血病リスクとの関連がみられた。2004年にさらに期間を延長してフォローアップした。
フォローアップ期間の中央値は42年で、造血リンパ系の悪性腫瘍と最大暴露量との間に関連が見られた。最大暴露量の少ない集団より1.37倍のリスクがあった。累積暴露量と平均暴露量には統計学的に有意な関連はなかった。腫瘍のサブタイプでは骨髄性白血病が1.78倍と最も目立った。リスクの増加はフォローアップの初期に高く、その後減少して統計学的有意差が消失する。
著者は「今回のフォローアップでは骨髄性白血病リスクが先の報告より低下したが幾分高いままである。経時傾向からは先の過剰なリスク推定が偶然によるものであることが示唆されるが、暴露直後にリスクが大きいということは因果関係があるということでもあるので、ホルムアルデヒド労働者におけるリスクは決定的ではないものの懸念材料であり続ける。」と書いている。
Mortality From Lymphohematopoietic Malignancies Among Workers in Formaldehyde Industries: The National Cancer Institute Cohort
Journal of the National Cancer Institute
Advance Access published on May 12, 2009.
doi:10.1093/jnci/djp096
(このグループの前回の報告では白血病による死亡の相対リスクが2.43とか3.46だった。それで2004年にIARCがホルムアルデヒドをグループ2Aから1に格上げした。
時間とともにリスクが低下するというパターンは、最初の結果が偽陽性だった可能性を示唆する。総暴露量ではなくピーク暴露との関連ということやリスクが時間が経つにつれだんだん小さくなるということなどから、発がん性があったとしても高濃度暴露による細胞傷害がメカニズムであるという上気道の場合と一致する。遺伝毒性発がん物質ではないのだろう。NCIが解説を掲載している。
http://www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/risk/formaldehyde#4