食品安全情報blog過去記事

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2009年6月30日の議題

COT agenda and papers: 30 June 2009
http://cot.food.gov.uk/cotmtgs/cotmeets/cot2009/cotmeet30jun2007/cotagendapapers30jun09
・ 埋め立て地の有害物質暴露問題(非公開)
・ PFOAのTDIについて
http://cot.food.gov.uk/pdfs/tox200922.pdf
2006年にCOTはPFOAのTDIを3 μg/mg/kg体重と設定した。その後2008年にEFSAがTDI 1.5 μg/mg/kg体重を設定し、2009年に米国EPAが暫定健康助言値として英国の水の基準値より低い0.4 μg/Lを提案した。
COTが2006年の評価に用いたのは最も感受性の高い毒性指標として、妊娠母獣の肝重量でBMDL10は0.46 mg/kg体重/日であった。各種試験のデータから、PODとして0.3 mg/kg体重/日を採用し、デフォルトの安全係数100を用いてTDI 3 μg/mg/kg体重を導出した。
EFSAのCONTAMパネルは同じくラットやマウスの肝臓への影響をもとにBMDL10を0.3-0.7 mg/kg/日と報告した。最も低いBMDL10の値とデフォルトの安全係数にさらにトキシコキネティクスが不明なことから追加の2を用いてTDI 1.5 μg/mg/kg体重/日とした。
EPAはBMDL10は0.46 mg/kg体重/日をPODに選び、ヒトと実験動物での体内残留時間の違いを重視して安全係数2430を採用した。EPAはTDIの値を明示してはいない。
こうした評価の違いは毒性学的エンドポイントによるものではなく、不確実係数の違いによる。我々はEPAのアプローチがあまりにも仮定が多すぎて信頼性に欠けると考える。
COTは先の評価でも不確実係数は採用しているがヒトとマウスでの半減期の違いの大きさを考慮して追加の2を採用することを薦め、TDI 1.5 μg/mg/kg体重/日が良いだろうと考える。この値は暫定的なもののままで、新しい情報が入手できれば更新されるべきである。
・21世紀のトキシコロジーに関するワークショップの声明案
NASの報告書を検討する2009年2月のワークショップについて声明準備中。
・メチルグリオキサール
http://cot.food.gov.uk/pdfs/tox200924.pdf
嫌気性解糖により生じる活性ジカルボニル化合物であるメチルグリオキサール(MG)は、動植物にひろく存在する。DNAや蛋白質と付加体を形成し、これらの付加体が加齢や糖尿病・腎不全などで増加する。MGは生きた細胞に普遍的に存在するので食品中にも含まれる。従って全ての食品から暴露されている。特に高濃度がマヌカハチミツや一部のソフトドリンクで報告されている。
MGの毒性は、酵素類の直接阻害作用・グルタチオンの枯渇とそれに続く活性酸素種の増加・DNA付加体形成による遺伝毒性の3つの主要メカニズムが知られている。急性毒性は動物により大きく異なり、経口投与でのLD50は ~ 600 から2400 mg/kg bwになる。
5ヶ月OF-1マウスに50 mg/kg体重/日飲水投与で腎臓へのコラーゲン蓄積がみられた(糖尿病関連病変)。がん原性試験は行われていない。
食品中のMG含量は0.05 829mg/kgで、最高値はマヌカハチミツである。醤油からは8.7mg/kgが検出されたことがある。パンは0.79 mg/kg、アルコール飲料は0.26-1.5mg/L、コーヒーには最大7 mg/Lである。マヌカハチミツ(38 - 829 mg/kg)は他のハチミツ(0 135 mg/kg)より有意に高濃度である。MGがマヌカハチミツの主な抗菌成分であるとされ、量は貯蔵に影響される。
飲料水のオゾン処理でもMGが低濃度検出される。煙草の煙にも含まれる(13.4 - 59.6 microg/cigarette)。
古くなった食用油や干ばつなどのストレスに曝された穀物、高果糖コーンシロップを含むソフトドリンク、発酵食品や乳製品などにも比較的多く含まれる。
体内で生じる内因性MGは外来MGとほぼ同程度であると推定される。
・食品中の塩化パラフィンに関する声明案
http://cot.food.gov.uk/pdfs/tox200925.pdf
塩化パラフィン(CP)をパラフィン長により短鎖(SCCPs:C10-13)・中鎖(C14-17)・長鎖(LCCPs: C18-26)に分類し、FSAが調査したのはSCCPとMCCPなのでリスク評価もこの二つのついてのもの。
COTはSCCPのTDI 30 μg/kg b.w./day、MCCPのTDI 4 μg/kg b.w./dayを設定する。
FSAの調査により検出された量は健康上の懸念とはならない

(「天然の遺伝毒性抗菌成分を含むマヌカハニーで腎臓に張りを与えるコラーゲンがたっぷり補充できます」とか言ったらスイーツ(笑)が喜んで買ってくれるかな)