食品安全情報blog過去記事

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長官のコラム:オーガニックか通常品か−我々の食品は安全でなければならない

CE’s column: Organic or conventional our food has to be safe
August 2009
http://www.nzfsa.govt.nz/publications/ce-column/ce-column-7.htm
オーガニックと通常食品の健康影響や栄養価に違いはないという英国の二つの研究の発表が、予想通りメディアやブログでの騒動を呼んでいる。
英国のNZFSAに相当するFSAが、人々が食品について情報を与えられた上での選択ができるように科学的に根拠のある正確な情報を提供するというその役割を果たすために独立した研究を依頼した。
FSA同様NZFSAも、人々がオーガニックと通常食品のどちらを選ぶかについては一方を支持したりしない。人々が食品を購入する理由はそれぞれ様々である。 値段や入手可能かどうか、健康や栄養、産地、環境影響、企業責任、文化、動物の福祉、生産に必要な労働、などいろいろであろう。
科学に基づいた政府規制機関として、NZFSAの懸念は、生産方法に関わらず何らかの食品による健康リスクに基づく意思決定がしっかりした科学的根拠に基づいていて、可能性のあるリスクがきちんと同定されて管理されているかどうかである。確かに我々は通常食品同様、輸出用オーガニック製品の公的認証を行っている。我々の役割はどちらにおいても同じである、食品が安全でその使用目的に適っていてニュージーランドの規則に従っているかを確認することである。
英国の研究は我々の立場−オーガニック食品が通常食品より栄養価において優れているとも劣っているとも言えず、健康へのリスクが大きいともベネフィットがあるとも言えないということ−を支持する。
FSAの報告書は過去50年以上にわたるオーガニック食品が健康によいと主張する論文の「系統的レビュー」である。つまり研究開始前にどのようにして根拠を捜すか、どのようなデータベースを使うか、どのような研究を対象にするか、 質をどう評価するかを明確にしてから調査を行うものである。つまり、ピアレビューのある科学雑誌に発表された質の良い研究−つまりしっかりした科学のみを考慮するというものである。
私が面白いと思ったのは、このように明確で透明な基準に従って検索した結果、たった約1/3のみが考慮に値するだけの科学的にしっかりしたものであったということである。健康影響に関するものでは約11論文、栄養価比較に関するものではたった55論文しか基準に合わなかった。このことは私に言わせれば、オーガニック製品に関する主張には信頼できる科学が恐ろしく欠乏していることを示す。
またBritish Food Journal (2009, Vol 111, Issue 10)に発表された研究ではオーガニック食品に関する科学の欠如と、消費者の認識と科学的根拠の間にはギャップがあることを指摘している:
「オーガニック野菜は汚染物質が少なくて栄養価が高いため、通常野菜より健康によいと認識されている。しかしながらそのような認識を支持する又は反論する文献は十分でなく、消費者の認識と科学的根拠にはミスマッチがある。」
NZFSAはオーガニック食品をその他の食品と同様に扱う。農薬や動物用医薬品などを含めて、同じリスク管理の枠組みで安全性と食品としての販売可能性を評価する。
英国の研究ではオーガニックと通常栽培の野菜や果物で特定栄養素の幾分かの違いを見つけているが、健康への影響は与えない程度である。もちろん栄養成分は成熟度や栽培方法や市場との距離や貯蔵方法、露光、産地など各種条件により変動しうる。
オーガニック支持団体は、栄養価のようなオーガニック食品に入っているものではなくオーガニック食品に入っていないものがオーガニックをより良いものにしていると主張している。それについては消費者に宣伝されているほど明確ではない。ニュージーランドでは全ての食品の殺虫剤や除草剤や肥料や動物用医薬品は厳密に規制されている。これらの使用による食品への残留は消費者にとってリスクは概念上ゼロのレベルである。概念上ゼロというのはADI以下の摂取量であるということである。ADIは毎日一生涯にわたって摂取しても検出できる影響はない量である。有機認証農作物で使用される農薬についても同じリスク管理が行われている。
オーガニックでも通常生産でも全ての農薬の使用は残留農薬によるリスクが概念上ゼロであるように規制され監視されている。つまりオーガニック製品を食べることによる測定可能な健康上のメリットはないということである。
オーガニック生産では合成品ではなく「ナチュラル」な方法を使っているから安全であるとは言えない。オーガニック農法では肥料として堆肥を使うため、大腸菌O157のような有害微生物のレベルは必ずしも安全ではない。
「オーガニック」表示はオプションであるが、消費者保護法ではそれは事実でなければならない。このことはつまりオーガニック表示のあるものは全ての成分が100%オーガニックであることを期待されるということである。
オーガニックの通常食品と比較したメリットは不明瞭であり、私が強調したいことは生産方法に関わらず、健康のために1日に最低野菜3単位果物2単位を食べることである。
詳細についてはさらにウェブで提供している。
オーガニック食品 NZFSAの施政方針
Organic Food NZFSA Policy Statement
http://www.nzfsa.govt.nz/policy-law/policy-statements/organic-food-policy-statement.htm
背景文書
NZFSA Policy on Organic Food: A Background Paper
http://www.nzfsa.govt.nz/policy-law/policy-statements/policy-on-organic-food/index.htm