食品安全情報blog過去記事

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我々はどれだけの量の塩やナトリウムを食べているか−さらなる情報

ファクトシート
How much salt and sodium are we eating - further information
1 September 2009
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/howmuchsaltandsodium4439.cfm
5月のファクトシート (http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/howmuchsodiumandsalt4340.cfm ;http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090521#p9)発表以降、多くの質問がよせられた。それらについて回答する。
塩又はナトリウム−どの用語が何を意味する?
塩とナトリウムは同じではない。この2つの用語は相互変換可能である。
塩は化合物塩化ナトリウムのことである。食卓塩や食塩とも呼ばれる。塩は食品への味付けや保存目的で数千年使用されてきている。
ナトリウムは元素である。ナトリウムは塩を添加していなくてもほぼ全ての食品に存在する。ナトリウムがほとんどの食品に天然に含まれることと、アスコルビン酸ナトリウムなどの他の形態で添加されているためである。食品添加物については食品成分に記載されている。
しかし我々の食生活の主なナトリウム摂取源は塩化ナトリウムで、約90%が塩化ナトリウム由来である。

ナトリウム摂取量はどのように推定したのか
ナトリウム摂取量推定のための最良の方法は24時間尿を集めてナトリウムを測定することである。しかしながらこの方法は簡単ではなくお金がかかるのでオーストラリアの大規模国民調査では使用されていない。尿中ナトリウムの測定は全てのナトリウム摂取を測定するため食塩からのナトリウム摂取量を知ることはできず、どの食品が最も多く寄与するかもわからない。
ナトリウム摂取量は一定期間内にある人が食べた食品や飲料の記録からも推定できる。この情報と食品中のナトリウム含量を併せて総摂取量を推定できる。
この方法は多くの栄養素で有効であるが、もし食卓で塩を振りかけていたり調理の時に塩を使っていたりするとナトリウム摂取量は多くなるなどの問題もある。個人が自由に添加している塩の量を正確に推定するのは困難である。また栄養データベースに収載されない個々のブランドによる塩分含量の違いもある。

塩の摂取量はどうやって推定するのか
ナトリウム摂取量を推定したらナトリウムの原子量23g/molと塩化ナトリウムの分子量58.44g/molを用いて計算できる。しかしながら塩化ナトリウムではないナトリウムの摂取量を最初に考慮することが重要である。これをしないと過剰推定になる。

FSANZはどのようにしてオーストラリア人の塩分摂取量を推定したのか
FSANZはオーストラリア人にどのようにしてヨウ素を摂ってもらうかを検討していた。ヨウ素添加塩が有効な方法であった。このことについては別に説明してある。そのためオーストラリア人の塩の摂取量推定が必要であった。
1995オーストラリア全国栄養調査から、2才以上のオーストラリア人13858人の食品摂取データを集めている。このデータと食品中ナトリウム濃度のデータをあわせて、食事も出るプログラムDIAMONDを使って推定した。詳細については以下で。
http://www.foodstandards.gov.au/_srcfiles/Salt_Intake_5.pdf

他の研究との比較は?
一部の人々がFSANZの推定は低すぎると主張している。
ほとんどの他の研究ではナトリウムの総摂取量を推定していて塩の摂取量では ない。FSANZの推定では約10%ほどの塩由来ではないナトリウムについては除外している。従って総ナトリウム摂取量から推定される量よりは少ないであろう。
また推定は平均でありこれより多く摂っている人はたくさんいるであろう。
どのような栄養摂取量推定方法にも限界はある。FSANZはそのような限界にも言及している。
FSANZはオーストラリアの塩摂取量を他の先進国と同じであると見なすことが適切だとは思わない。

塩とナトリウムの推奨摂取量
塩については国による推奨量は設定されていない。ナトリウムについてはNHMRCが2006年に上限安全摂取量として14才以上で2300 mg/日を推奨している。
高齢者や過体重、一生に渡って血圧を低く保ちたい人については1600 mg/日を推奨している。