食品安全情報blog過去記事

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アメリカンルーレット?汚染ダイエタリーサプリメント

American roulette?−Contaminated dietary supplements.
Cohen PA.
Posted by NEJM October 7th, 2009
http://healthcarereform.nejm.org/?p=2017&query=home
米国で最も危険な都市の一つで、一人の恰幅の良い巡査部長が犯罪よりも気にかけていたのは医師から体重を減らすよう忠告されていたことである。多くの他のアメリカ人と同じように、彼は痩身用サプリメントで痩せようとした。そして失ったのは脂肪ではなく職だった。彼の痩身用サプリメントはブラジル産でビタミンやハーブなどの「ナチュラル」成分を含むと表示してあったが、彼の尿から検出されたのはアンフェタミンであった。そんな汚染サプリメントが公衆衛生上のリスクとなっている。
2009年8月に米国FDAは表示されていない医薬品成分を含む各種サプリメントを発見している。現在140以上が見つかっているが、これはほんの一部に過ぎない。サプリメントの規制は緩くFDAのリソースも無いため、有害物質の含まれた製品が市場に出回っている。2007年以降製造業者に重大な有害事象についての報告が義務づけられたが毎年5万件以上と推定される有害事象のほとんどは報告されていない。
米国で成人の半分以上がサプリメントを使用していることを考えるとこれは危険である。1994年のDSHEA成立以前は、ハーブ製品は食品添加物として市販前に安全性を示す必要があった。DSHEA成立後はダイエタリーサプリメントは安全であるとみなされることになりほとんど監視されなくなった。
医師も消費者もサプリメントの規制がどうなっているかほとんど理解していない。2002年の世論調査では多くの消費者がサプリメントは政府が認可していると信じ、2/3は警告表示の義務があると考えていた。医師もまた誤解している。
DSHEAはFDAが有害なサプリメントを検出して排除するための大いなる障害となっている。多くのサプリメントに有害成分が含まれている。特に問題となっているのは処方薬や規制対象薬物の混入である。悪質な業者は医薬品成分の類似体を使うことで検査から逃れている。
汚染サプリメントは多くがインターネットで販売されているが大通りの小売店でも販売されている。中国産のものが多いが国産もある。医師はサプリメントによる有害事象を疑うべきである。
DSHEAは有害なサプリメントの同定と排除を保証しない。議会はFDAサプリメント対策のための権限とリソースを与えるべきである。そうしない限り、何百万人というアメリカ人が、根拠のない健康上の利益と引き替えに許容できないリスクに曝され続けるであろう。