食品安全情報blog過去記事

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ノセボ効果:病気のことを考えると病気になる

Nocebo Effect: Think Sick and You’ll Be Sick
November 2, 2009
By Jack Dini
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.1239/news_detail.asp
スウェーデンはヨーロッパにおける化学物質規制の最前線にある国の一つである。スウェーデンは2010年までに環境中の有害物質を無くす「toxic-free」という政策をもち、欧州委員会の白書「将来の化学物質政策戦略」作成に主導的役割を果たした。しかしながらBill Durodieが示しているように、「スウェーデンは先進国で化学物質過敏症であると自己申告する人が最も多い国である。つまりリスクについて周知しすぎることがまさに文字通り人を病気にしているのだ。」
Helen Pilcherが報告しているように、「ある種の病気になるリスクが高いと信じている人々は、同じリスク要因を持っていながらリスクが低いと信じている人々よりその病気になりやすい。」
あなたは糖の錠剤に治療効果があるという「プラセボ効果」について聞いたことがあるだろう。しかしプラセボの邪悪な双子である、負の期待が有害影響をもたらすというノセボ効果については聞いたことがあるだろうか?
ノセボという用語は「私は害を与えられるだろう」という意味で1960年代に紹介され、極めてリアルなものである。化学療法を受けている患者の約60%が、治療を始める前に具合が悪くなる。さらにノセボ効果は伝染することがある。私たちに何らかの有害影響があるだろうと考えると、我々は病気の徴候を探し始め、有害影響があるという話を聞いたり観察したりすると自分自身の有害影響発症率が高くなる。
ベルギーのLeuven大学の研究者らは、ノセボ効果は普通は物質に悪臭があると起こり、良い匂いがあるとおこらないことが、環境中にある物質の有害性について事前に警告を与えられると匂いに関わらずノセボ反応が起こる。「この研究は環境汚染物質に対する警告や反対キャンペーンが、環境には良い影響を与えるものの、意図せず環境化学物質への反応を促し化学物質過敏症や集団の社会的病気などを拡散させていることを示唆する」
他にもいくつかの例を示す
(文献紹介)
専門家でも影響を受ける。医学生は、自分がたまたま学んでいる病気の症状を発症しやすい「医学生病」と呼ばれる現象になりやすい。インターネットによるノセボ効果についてはまだ研究はない。
ノセボ効果と集団ヒステリーと化学物質過敏症は全て関連している。ロンドンのKing’s College School of Medicine のSimon Wesselyは数百件の集団ヒステリー事例を持っている。「ほとんどの事例がパターン通りである。近くの人が病気になるのを見た人が、何か見えない悪いものがあるに違いないと確信して−かつてはそれは悪霊や悪魔だったが現在は毒素やガス−不安と恐怖がめまいやむかつきを誘発する。やがて過呼吸になり倒れる。同じ主張を聞いて「犠牲者」が出たのを見た人々も不安になり気分が悪くなる。このような状況は良くあり、正常な反応で精神病ではない。
Sandy Szwarcがこのことを良くまとめている。「私たちはごく微量の物質が治療効果があると信じるのと同じように、ごく微量の化学物質や汚染物質に有害影響があると信じるようになることはある。その結果生じる症状は異常なもので想像を絶するものであることがある。化学物質への恐怖が人々の間に共有されているとき、症状は人々に広がる。我々はセンセーショナルで根拠のない恐怖を広めたり、困っている人の苦しみを娯楽として使うような人たちを支持しない。」