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Seralini らの論文へのFSANZの回答

FSANZ response to Seralini et al.(2009), A comparison of the Effects of Three GM Corn Varieties on Mammalian Health,Int. J. Biol. Sci. 5(7): 706-726
27 December 2009
http://www.foodstandards.gov.au/educationalmaterial/factsheets/factsheets2009/fsanzresponsetoseral4647.cfm
問題2009年12月にInt. J. Biol. Sci に発表されたSeralini らの新しい論文についてメディアが報道している。著者らは統計学的解析によりGMトウモロコシを与えたラットに有害健康影響が同定されたと主張している。2007年にMON863トウモロコシについての同様の論文が発表されているが、今回の論文は同じ方法でMON863、MON810、NK603についてのデータを解析したものである。
回答
・ 最新論文でもSeralini らは毒性試験データの解釈に先の論文と同じ統計学的アプローチを用いている。今回は3つの系統のトウモロコシについての別々の混餌投与試験に同じ方法を使って「新しい副作用を同定した」と主張している。
・ 著者らは腎臓や肝臓に主な「毒性の徴候」が見られたと主張しているが、他に心臓や副腎、脾臓、造血系へも影響があるとしている。これらの知見に基づき、GM食品のin vivo安全性評価には最低3種の動物での長期(2年まで)の混餌投与試験が必要だと強く主張している。
・ 2007年のSeralini らの論文に対し、科学専門委員会は著者らの同様の主張を退けている。FSANZも独自に論文を精査し、GMトウモロコシを与えた動物で見られた統計学的有意差は全く正常なばらつきの範囲内であると結論している。
・ 最新の論文でもSeralini らは科学的コンセンサスを拒否し、その代わりに統計学的有意差と各GMトウモロコシに特有の除草剤や殺虫剤などとの因果関係又は遺伝子組換えによる意図しない影響を主張している。著者らは彼らの仮説についての科学的にありそうな説明を全くしていないし、病理学や組織学や組織化学的研究などのそれらの試験で使用された他の調査との統計学的調和の欠如についても無視している。
・ Seralini らはデータの統計学的処理を不当に強調し他の関連要因を無視することによって彼らの結果の毒性学的意味を歪めている。そのような試験でただ統計のみで処置による因果関係を決めるというのはしっかりした毒性学的解析ではない。毒性学的に意味のある影響があったという結論を単独で裏付ける根拠はない。FSANZは報告された有意差は主に偶然によるもので性や用量依存性もないということを確信し続ける。
背景
引用文献リストなど
問題の論文は以下
http://home.biolsci.org/v05p0706.htm

(統計を使って嘘をつく方法、みたいな話。Seralini らは先の報告をあれだけ批判されたのに全く考慮することなく、ひたすらGM反対のための活動を続けている。)