食品安全情報blog過去記事

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論文など

  • タバコ会社の新しい溶解性ニコチン製品は事故による中毒を引き起こす可能性がある

Tobacco company's new, dissolvable nicotine products could lead to accidental poisoning
19-Apr-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-04/hsop-tcn041610.php
見た目や味がキャンディのようなので乳幼児に魅力的
Pediatricsに4月19日オンライン発表された。
2009年にR.J. Reynolds Tobacco Companyが発売したCamel Orbsは1錠あたり1mgのニコチンを含み、シナモンまたはミント味である。この製品は喫煙者の喫煙できない場合のニコチン供給源として作られたものであるが子どもにはキャンディに見えるだろう。
1才の子どもなら8-14錠で弱いニコチン中毒、10-17錠で重症中毒になり死亡する可能性もある。Orbsの試験販売が行われたポートランドの中毒情報センターには3才の子どもがOrbsを誤飲したという報告が寄せられている。
Unintentional Childhood Poisonings Through Ingestion of Conventional and Novel Tobacco Products
オープンアクセス
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/reprint/peds.2009-2835v1
製品の写真がある
ここでは白黒だがハーバードのサイトではではカラーのものが提供されている
http://www.hsph.harvard.edu/

Probiotic without effect against Salmonella
19-Apr-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-04/uog-pwe041910.php
スウェーデンのGothenburg大学の学位論文。
90%が海外で感染した163人のサルモネラ患者にプロバイオティクス乳酸菌または粉末スキムミルクを与えた。その結果下痢の回数やお腹にサルモネラが存在する期間に両群で差はなかった。

オーガニックと通常食品に違いはあるか?健康への利益と有害性に関する系統的レビュー
Is There a Difference between Organically and Conventionally Grown Food? A Systematic Review of the Health Benefits and Harms
April 21, 2010  1:30 PM - 3:00 PM
http://fsi.stanford.edu/events/is_there_a_difference_between_organically_and_conventionally_grown_food__a_systematic_review_of_the_health_benefits_and_harms/
背景:過去5年間でオーガニック食品の売り上げは増加した。栄養価や安全性についての根拠もなく通常食品より10-300%高いにも関わらず。最近の食中毒事故にはオーガニック食品が原因のものもあり、オーガニックが「健康によい」かどうかは疑問である。
方法:医学及び農業分野の論文を系統的にレビューした。言語は英語のみで、時期は1966年1月から2009年8月まで。
結果:約220の研究、5371の引用を見つけた。全体的に小規模試験が多く方法論も様々であった。最も信頼できる根拠は政府の大規模モニタリング計画からのものだった。オーガニック食品は残留農薬濃度については有意に低いが、通常作物もMRLより低いのでそれが健康上意味があるかどうかは不明である。他に栄養素や微生物や重金属、カビ毒等の指標でオーガニック食品に安全性や栄養価において優れたところはない。むしろ栽培地域や季節、保存状態やGAPなどのほうがオーガニック表示より信頼できる品質の予測因子であった。オーガニック食品を食べたヒトと通常食品を食べたヒトを比べた研究では農薬暴露量に違いがあったがいずれも安全基準以下であった。