食品安全情報blog過去記事

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EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • クロルデコン暴露と前立腺がんリスク

Chlordecone exposure and risk of prostate cancer
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/ind-cea062210.php
Journal of Clinical Oncologyの2010年6月21日号に発表された論文によれば、1973年から1993年までフランス領西インド諸島で使われていたクロルデコン(別名Kepone)への暴露と前立腺がんリスクの増加が関連する。709人の前立腺がん患者と723人の対照を比較した症例−対照研究。クロルデコンの暴露量は血中濃度で評価した。その結果クロルデコンの血中濃度の高さと前立腺がんリスクの間に有意な関連があり、特に一親等に前立腺がんの家族歴がある場合、西洋諸国での生活経験がある場合に関連が高かった。
Chlordecone Exposure and Risk of Prostate Cancer
http://jco.ascopubs.org/cgi/content/abstract/JCO.2009.27.2153v1

  • 肥満、中年以降の体重増加が高齢者の糖尿病リスク増加と関連する

Obesity, weight gain in middle age associated with increased risk of diabetes among older adults
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/jaaj-owg061710.php
JAMAの6月23/30日号に発表された研究によれば、65歳以上の人にとって、肥満、腹部の過剰な体脂肪、50才以降の体重増加が糖尿病のリスクと関連する。
JAMA. 2010;303[24]:2504-2512
50才でBMI30で50才以降に9kg以上の体重増加の場合、50才の時BMI25以下で体重が変わらない人の5倍のリスク。

Study examines outcomes of lowering homocysteine levels with folic acid and vitamin B12
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/jaaj-seo061710.php
JAMAの6月23/30日号に発表された研究によれば、心臓発作を経験して血中ホモシステイン濃度を葉酸ビタミンB12サプリメントで下げても心臓発作リスクは低下しない。また葉酸サプリメントはがんリスクを増加させることはない。
血中ホモシステイン濃度は心疾患型疾患と相関があるが、因果関係については不確実だった。コレステロールとホモシステインの追加削減の有効性研究(SEARCH)では、心筋梗塞既往症患者12064人に葉酸ビタミンB12サプリメントを投与し、6.7年フォローアップした。結果的に葉酸サプリメントはホモシステイン濃度は下げるが有害影響も有効性もなかった。従って心血管系疾患予防にはビタミンサプリメントではなく効果が証明されている禁煙や肥満予防などのライフスタイル変更やスタチンや降圧剤等の薬物治療が重要である。
JAMA. 2010;303[24]:2486-2494

  • 妊娠中に携帯電話の基地局近くに住んでいたことと早期の子どものがんとは関連がない

No link between early childhood cancers and living near mobile phone base station during pregnancy, says study
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/icl-nlb062210.php
BMJに発表された英国での研究。1999-2001年に白血病または脳や中枢神経系の腫瘍として登録された1397人の0-4才の英国の子どもたちの生まれたところと携帯電話の基地局との近さを対照群の子どもたちと比較した。

  • チリの環境スキャンダル

Environmental scandal in Chile
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/m-esi062210.php
チリ南部Aysén地方の国立公園の動物相にサケの養殖業が大きな影響を与えているというNatureの報告。養殖に使う網が首に絡まったアシカの写真。
Call for cooperation to contain damage by Chile's salmon farms
Nature, June 17th, 2010 doi:10.1038/465869d

  • オーガニック農薬は必ずしも環境に良くはない

Organic pesticides not always 'greener' choice, study finds
22-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/uog-opn062110.php
消費者はオーガニックだから環境に優しいと見なすべきではない。
Guelph大学の研究では一部のオーガニック農薬は通常農薬より使用量が多いために環境影響が大きい。PloS Oneに発表された論文では6つの農薬の環境影響と大豆のアブラムシへの有効性を比較した。通常農家が使っている2つの合成農薬、新しく開発された2つのリスク削減合成農薬、オーガニック栽培で使われるミネラルオイルベースの農薬、昆虫に感染する真菌を利用した生物農薬、の6種を比較した。合成品に比べてミネラルオイルと真菌は効果が弱くテントウムシなども殺してしまい、ミネラルオイルが最も環境影響が大きかった。単純に天然物か合成品かだけではなく全ての性質を考慮して害虫管理方法を選択すべきである。
オープンアクセス
Choosing Organic Pesticides over Synthetic Pesticides May Not Effectively Mitigate Environmental Risk in Soybeans
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0011250
(当然のことなんだけど、それが理解されないから有機は信仰だと)

  • 長期の母乳のみでの育児は乳児の感染症リスクを減らす

Prolonged and Exclusive Breastfeeding Reduces the Risk of Infectious Diseases in Infancy
Liesbeth Duijts et al.,
PEDIATRICS (doi:10.1542/peds.2008-3256)
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/peds.2008-3256v1
オランダの集団ベースの前向きコホート研究。4164人のデータを解析したところ、4ヶ月齢まで母乳のみで育てた場合、母乳を全く与えない群より6ヶ月時点での上気道・下気道・消化管感染症リスクが低かった。混合の場合にはリスク減少は見られなかった。