食品安全情報blog過去記事

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EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • HEALTHY研究で糖尿病リスクの高い若者への介入は肥満率を下げた

Intervention lowered obesity rate in youth at high diabetes risk, HEALTHY study finds
27-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/niod-ilo062510.php
6年生の時に肥満または過体重になりはじめた2型糖尿病リスクの高い中学生への介入は肥満率を下げたが対照群でも下がったため有意差はなかった。
HEALTHY研究では、介入内容は学校で提供される食品の制限や運動の強化、教室での教育などで、7地域42中学校4600人の生徒が参加した。3年の研究で肥満と過体重の合計頻度が計画実施校でも対照校でも4%減った。対照校での肥満の減少は予期できなかったことで理由は検討中。
nejm.org June 27, 2010 (10.1056/NEJMoa1001933)
A School-Based Intervention for Diabetes Risk Reduction
The HEALTHY Study Group
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa1001933

Gestational diabetes linked to serotonin and dietary protein
27-Jun-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/uoc--gdl062510.php
妊娠中の糖尿病が体内で合成される神経伝達物質セロトニンにより調節され、妊娠初期に母親が摂取する食事中のタンパク質量に影響される、という論文がNature Medicineに発表された。
妊娠初期に女性のインスリン産生細胞の数が増加し胎児が成長した場合の栄養要求時の調節を可能にする。妊娠しているマウスとしていないマウスのゲノム解析から膵島細胞で発現が大きく誘導されている遺伝子、トリプトファンヒドロキシラーゼ(Tph1)を同定した。この酵素アミノ酸トリプトファンからセロトニンを作る酵素である。実際妊娠初期のβ細胞でのセロトニン合成量は1000倍に増加した。妊娠により増加したプロラクチンがβ細胞のTph1遺伝子を活性化し、できたセロトニンがβ細胞の増殖を誘発している可能性がある。
順天堂大学も共著
Serotonin regulates pancreatic beta cell mass during pregnancy
Nature Medicine:(2010):doi:10.1038/nm.2173
http://www.nature.com/nm/journal/vaop/ncurrent/abs/nm.2173.html
マウスの実験ではあるが妊娠中のトリプトファン不足で妊娠糖尿病になりやすくなる可能性を示唆。妊娠初期に動物性食品を制限するのは宜しくないかも。

Type 2 diabetes—time to change our approach
The Lancet, Volume 375, Issue 9733, Page 2193, 26 June 2010
LancetのVolume 375, Issue 9733は糖尿病特集。
糖尿病の約90%は2型糖尿病で、その発症には変更可能な生活習慣が大きく関与している。薬物治療がライフスタイル変更の動機を弱めることがあってはならない。食生活と運動の社会的対策が必要である。