食品安全情報blog過去記事

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素晴らしい新世界

(注がいるかな?ハクスリーのディストピア小説
Brave new world
Andrew Wadge
06 August 2010
http://blogs.food.gov.uk/roller/science/entry/brave_new_world
今週メディアが「クローン肉とミルク」がフードチェーンに入ったことについて報道したのを目にしただろう。これは米国でクローン牛から作られた胚からごく少数の動物が英国で育てられたためである。これらクローン動物の子孫がFSAの調査対象になっている。
メディアや世論の反応はいろいろである、その理由の一つはクローン技術への理解度によると私は思う。我々は2007-8年にクローン動物やその子孫とそれらがフードチェーンに入ることについての人々の見解について研究を行った。この研究では一般的な人々のクローン動物への理解や関心は限られていてクローン動物やその子孫由来食品が販売される前にいろいろな懸念について対応して欲しいというものだった。それで私はより一般的な、センセーショナルではないクローン動物についての情報が人々に役立つだろうと考えた。
単純に言うとクローニングは遺伝的に同一の個体を作ることである。これは新しい現象ではなく自然界でもイチゴやアブラムシなど植物や細菌や昆虫で見られる。園芸分野では人工的なクローン作成は数百年にわたって行われていて、おかげで我々は種なしブドウやバナナを作ることができる。
クローン動物は一卵性双生児と比較できるが、体細胞核移植によるクローン作成は自然界で起こっているより複雑である。ドナーの体細胞を核を除去した卵に移植し、その卵を刺激して分割させ適切な時期に代理母に移植する。
クローン作成はお金も時間もかかるため、クローン動物由来食品が日常的に食糧になることはない。しかし極めて価値のある望ましい性質をもった牛のクローンを作ることは経済的に意味がある。我々は血統の良い牛から大量の子孫を作ることには慣れ親しんでいて、クローン技術を使えばさらに多くの子孫ができる。普通の食品に使われるのはそのような普通の方法で生まれたクローン動物の子孫であろう。
クローン動物やその子孫由来食品には食品安全上のリスクはない。健康なクローン動物やその子孫由来食品には他の動物由来のものと違いはなく区別するための検査法もない。しかしながら多くの人達がクローン動物作成を巡る倫理的問題に懸念を抱いている。
あなたの見解は?あなたは食べますか?
体細胞クローンの話のみ。胚細胞クローンは話が面倒になるから避けているのかな。でも日本では明確に分けて説明しないと混乱するかも。)