食品安全情報blog過去記事

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長官のコラム 食品中化学物質には大きな安全性マージン(余裕)がある

Food has big chemical safety margins
2010
http://www.nzfsa.govt.nz/publications/ce-column/2010/2010-11-food-tech-mrl-setting.htm
農薬使用がニュースにならないことはない。NZFSAがGAPの指標として定めた残留基準値を上回る濃度の農薬を検出すると感情的なニュースの見出しや農薬を禁止しろと言う主張を引き起こす。
この現象は最近では我々の年次サーベイランス計画結果の発表により見られた。この調査で一部の農薬が、特にチンゲンサイで基準値を超過していたため、健康リスクとはならないにもかかわらず、一部の人達から慣行栽培製品を避けるべきという主張につながった。
食品中残留物質サーベイランス計画は農薬の管理状況と食品の安全性を確認するためのもので、メディアが報道していないことは実際には平均的ニュージーランドの食生活には化学残留物質や汚染物質による安全上の懸念はないということである。
NZFSAは5年毎にトータルダイエットスタディを行い汚染物質や残留物質の包括的評価を行っている。
さらに報道されないことは慣行栽培でも有機栽培でも農薬の使用が如何に厳しく規制されているか、である。MRLは安全基準値ではない。MRLはGAPの履行状況の指標である。
MRLが健康影響のない量であることを確実にするために毒性学者は動物実験を行う。動物に何の影響もない用量を選んでさらに最低100の安全係数で割る。例えば動物実験で1gの化合物で何の影響もない場合、許容量はその100分の1である。これは1kgの砂糖の袋1つとティースプーン2杯との違いである。そしてほとんどのMRLは消費者暴露がさらにその10分の1か100分の1になるよう設定されている。
そしてさらに重要なのは市場調査は消費者が食べる形の食品を調査しているわけではないということである。実際に食べるまでには残留物質は時間経過による減少や洗浄や調理によって減っている。マーケットバスケットによる市場調査とトータルダイエットスタディのような食べ物調査を比較すると実際の摂取量は市場調査の約1/10である。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20101026#p7の件)