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心血管系疾患リスク要因の流行

The Lancetエディトリアル
 Vol. 377 Number 9765 Feb 12, 2011
An epidemic of risk factors for cardiovascular disease
慢性疾患代謝リスク要因の世界負荷共同グループGlobal Burden of Metabolic Risk Factors of Chronic Diseases Collaborating Groupによる3つの論文がLancetに発表された。これまでのBMI収縮期血圧、血中総コレステロールの傾向を解析したもので、結論は心血管系による早期死亡増加が、低所得国や中所得国で避けられないというものである。これらリスク要因は調節可能であり、全ての国の全てのレベルの医療関係者がこれらの研究結果を読むべきである。
199の国や地域の1980年と2008年のデータを比較した調査である。ほぼ全ての国でBMIが増加しており、2008年にBMI 25以上の成人は14億6000万人で肥満は5億人以上である。2番目の論文は血圧についてで、豊かな国では減少、低―中所得国で増加している。血中総コレステロール濃度については豊かな国で最も高いが減少傾向にあり、途上国では増加している。
これらの結果から言えることは、医療費の増加が大きいだろうこと、これらはライフスタイル要因で変更でき効果的対策が可能であること、中国やインドなどの豊になりつつある国にとっては早期警告になるだろうこと、である。
研究者はどうすればいいか?データを集めたいという誘惑にかられるだろうが、最も詳細なデータを提出した日本の経験から、データを集めただけでは必ずしも事態は改善されない。データ収集はリスク削減対策の成果を研究するという文脈の中で価値がある。

p557 Mariel M Finucane et al.,
National, regional, and global trends in body-mass index since 1980: systematic analysis of health examination surveys and epidemiological studies with 960 country-years and 9•1 million participants

P568 Goodarz Danaei et al.,
National, regional, and global trends in systolic blood pressure since 1980: systematic analysis of health examination surveys and epidemiological studies with 786 country-years and 5•4 million participants

P578 Farshad Farzadfar et al.,
National, regional, and global trends in serum total cholesterol since 1980: systematic analysis of health examination surveys and epidemiological studies with 321 country-years and 3•0 million participants