食品安全情報blog過去記事

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嘘、大嘘、そして統計

Lies, damned lies, and statistics
Terrence Collis on 18 February 2011
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/lies_damned_lies_and_statistics
Andrewが充電中なので私(Terrence Collis)が先週のNew Scientistの記事「統計を報道するときのメディアの誇大宣伝を抑制する」を紹介する。少し遅いけれど、これは我々の科学コミュニケーションで努力していることに大きく関連し注目に値すると思う。
この記事では何年にも渡る食品の報道に関する見出し、「一杯の熱いお茶を飲むことが食道がんリスクを8倍にする」や「毎日グレープフルーツ1/4個を食べると閉経後の女性の乳がんリスクが30%増加する」などのような、を例にしている。これはAndrewが「毎日ベーコンサンドイッチを食べると大腸がんリスクが20%増える」というニュースに出くわしたときに「ベーコンサンドの救世主」と称えた(多分皮肉)のと同様の話である。これらの数値は正しかったとしても誤解を招くもので絶対的リスクについては何も語っていない。ケンブリッジ大学のDavid Spiegelhalterは「平均的ヒトが人生のどこかで大腸がんになる可能性は5%で、もし相対リスクが20%増加するとすれば絶対リスクの増加は5%から6%、つまり人々にとってのリスクの増加分は1%である」と上手にまとめた。
これは単純な統計がどんな風にして事実をゆがめることができるかを示すものである。事実を提示されない以上あなたにできることはあまりなく、たった1つできることは全ての統計を使った見出しを疑うことである。しかしそのことにも問題はある−人々は新聞に溢れているたくさんの健康の恐怖に麻痺している。
このことはFSAにとってジレンマである。人々がリスクを理解するには数値を出すのが役に立つだろうし、我々はメディアが物語を売りたがることも知っている。人々に広く助言を届けたければゲームに参加する必要がある。しかし我々がやりたいのは事実を提供することで、ジャーナリストが勝手な結論に飛躍するのは望まない。ストーリーを作るのに統計を使うことにおいてFSAが無罪ではないが、正直で誤解を招かない様に努力している。
(タイトルは「世の中には3つの嘘がある。嘘、大嘘、そして統計である」から。New Scientistの記事は有料)