食品安全情報blog過去記事

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本の紹介

すべて分析化学者がお見通しです! ?薬物から環境まで微量でも検出するスゴ腕の化学者 (知りたい!サイエンス)

すべて分析化学者がお見通しです! ?薬物から環境まで微量でも検出するスゴ腕の化学者 (知りたい!サイエンス)

技術系サラリーマンの交差点
http://ytsumura.cocolog-nifty.com/blog/

本の紹介というか書いた人の紹介です。
著者の一人である津村さんとは同じ組織の一員でした。
彼女は大阪支所だったので働いていた当時には面識はありませんでしたが。

分析という仕事は従事している人が比較的多く、何をやっているのかも一般の人からは比較的わかりやすい仕事だと思います。
ただ動物を使って安全性の研究をしている人達からの評判は実はあまり良くありません。分析屋は、なんだかよくわからないものを「検出」しただけでその生物学的意味などお構いなしにとにかく危険だと騒ぎたがるし、自分が検出した物質は最大限に悪いまたは良い影響があると誇大宣伝してはばからないし、なんらかの「基準値」違反があったらそれだけで「手柄」として大々的に騒ぎたがる・・・そういうイメージがあります。分析屋が騒ぎを引き起こすとそのせいで訳のわからないものの「毒性試験」をやらされる。あまり意味はないと思いつつもたくさんの動物を殺さなければならないのが安全性試験担当部門の役割なわけです。
でも津村さんは自分の検出したものの意味をちゃんと調べる人でした。そのことがよくわかるのがフタル酸エステルの記事です。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ytsumura/phindex.html
あまり調べもせずにフタル酸エステル環境ホルモンなんだから規制しなくちゃ、と言っている「分析屋」とは全然違っています。津村さんは「分析化学者」と言えるのです。
分析を仕事にしている人達がみんな津村さんくらいモノを考えているのなら、たまにこのブログでも言及する「○○から△△が(基準値を超えて)検出されたから危険」といった、消費者に不安を与えるだけで何のメリットもない報道は無くなるはずなのです。そういう意味で分析を志す人達に津村さんの本をオススメします。