食品安全情報blog過去記事

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食品照射の有化学的安全性についての科学的意見

Scientific Opinion on the Chemical Safety of Irradiation of Food
EFSA Journal 2011;9(4):1930 [57 pp.].
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/1930.htm
イオン化放射線が食品を通過する際に生じるものに、ある種の炭化水素や2-アルキルシクロブタノン、コレステロールオキシド、フランなどがある。これらのほとんどは他の食品加工工程でも生じるもので照射に限定されるものではない。さらに照射により生じる量は加熱で生じる量より多くはない。2003年のSCFの意見以降、照射食品の遺伝毒性試験がいくつか報告されている。少なくとも2種類の2-アルキルシクロブタノンで in vitro DNA傷害が報告されているがin vivo試験はない。しかしin vito でのアルキルシクロブタノンの遺伝毒性メカニズムを考えるとヒトへの遺伝毒性はありそうにない。ほかの放射線分解産物については新しい毒性データはない。最近の文献は概ね2003年のSCFの意見を支持する。唯一の新しい矛盾する根拠は高線量で照射された餌のみを与えたネコにおける白質脳症であるが、リスク評価に使えるメカニズムが不明である。ヨーロッパでは照射食品の量は限られるため直ちに懸念とはならないが、ネコ研究のヒト健康との関連性については明確にすべきである。