食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 燃える議論

Nature ニュース
A burning issue
Published online 20 May 2011 | Nature | doi:10.1038/news.2011.311
Daniel Cressey
http://www.nature.com/news/2011/110520/full/news.2011.311.html
難燃剤は禁止されるべきなのか?
米国での難燃剤に関する今週のニュースを読んだ母親はパニックになってもしかたない。Foxニュースが「赤ちゃん用製品の80%は有害だ」と叫んだ。
嵐のようなメディア報道のもとになったのはES & Tに発表された論文で、毒性研究と消費者製品と化学物質規制に関する問題を扱ったものであるが、メディアの報道を眺めて期待するような内容ではない。
実際にこの研究で行ったのは、消費者にチャイルドシートやおむつ替えマットなどの子ども製品のスポンジの一部を送ってもらい、一部は研究者が購入して、難燃剤を調べた。製品の80%にはなんらかの難燃剤が使用されていて、最も多く使われていたのはTDCPPであった。2004年以降使われていないPBDEは101検体中5検体から検出した。この論文はこの分野の研究者が既に知っていることを確認したに過ぎない。
カリフォルニアでは内装用スポンジに難燃剤の使用を義務づけている。従って難燃剤を含む製品はカリフォルニアの規制に対応したものである。問題になるのはPBDEの代わりに使われている化合物が実際にどれだけ環境中に放出されてどんな影響があるのか、である。この論文ではそれについては扱っていない。
赤ちゃん用製品への難燃剤の使用が火事を予防するのかどうかは証明が困難である。どこでも使い古された結びの言葉「さらなる研究が必要である」と科学者は言う。

  • 携帯電話とWi-Fi禁止要求への対応

Sense about science
Response to calls to ban mobile phones and Wi-Fi
May 20 2011
http://www.senseaboutscience.org.uk/index.php/site/project/621/
2011年5月16日に欧州評議会が携帯電話やWi-Fiのような技術の使用にはより慎重な方針をとるべきだという決議を採択した。彼らは「科学的研究や臨床上の根拠が出るまで待っていたら、アスベストや有鉛ガソリンやタバコの事例のように、コストがかかる」と主張する。いくつかの新聞がこの件を報道した。「放射線について理解する」パンフレットにおいて我々は放射線と健康影響についてわかっていることを説明した。このガイドラインでMark Miodownik博士はこう述べている「科学者も規制担当者も、なにかを絶対安全だと言うことはできない。科学者は確率の用語で仕事をしていて、100%安全などというものは存在しない。しかし安全でないという証拠はない、と言うことはできる。」
Making Sense of Radiation
http://www.senseaboutscience.org.uk/pdf/makingsenseofradiation.pdf
(無線技術を使うなという主張が現実に受け容れられるとも思えないのだが。本気なのかどうか。)

  • TTCワークショップの開催案内

ILSIヨーロッパ
Workshop on TTC: Scientific Challenges and Approaches
Brussels, Belgium, 6/8/2011 - 6/10/2011
http://www.ilsi.org/Pages/ViewEventDetail.aspx?ID=233

コンシューマーラボ
Product Review: Red Yeast Rice Supplements Review
5/20/11
https://www.consumerlab.com/reviews/Red-Yeast-Rice-Supplements-Review/Red_Yeast_Rice/
強度に10倍以上の差があり、多くのものが過去より弱くなっていて、一部は汚染されている。製品の中には全く有効成分を含まないものがある。同じ製品を過去に検査したものと比べるとロバスタチンの量が29-88%と減っていた。一方で有害物質シトリニンが4製品から検出されている。
(時期によって内容が変わるなんて医薬品ではあり得ない。サプリメント業界のいい加減さを如実に表す事例だと思うけど)

The tyranny of mother’s milk
From Saturday's Globe and Mail
Published Saturday, May. 21, 2011 2:00AM EDT
http://www.theglobeandmail.com/news/opinions/opinion/the-tyranny-of-mothers-milk/article2030188/
カナダの新聞が母乳の出が悪くて赤ちゃんが栄養不良になってしまった母親の苦悩を報道している。
生まれてから体重が減り続け泣く赤ちゃんに、誰もミルクを勧めてくれなかった、ただ母乳で頑張れと。ミルクを与える母親は悪い母親だというメッセージしか受け取らなかった。病院で検査して子どもが飢えていると診断されたときには既に4週で、彼女は泣き続けた。
カナダでは母乳を薦めているものの6ヶ月まで母乳のみの母親は20%より少ないため政府がキャンペーンを行っている。
(何にせよ、相手の悪口を言って宣伝する人達はダメだと思うんだが、ネガティブ情報の方がインパクトあるから。感情で判断してはいけないのに。)