食品安全情報blog過去記事

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血中Cry1Abタンパク質とGM食品を関連づける研究についてのFSANZの対応

FSANZ response to study linking Cry1Ab protein in blood to GM foods
30 May 2011
http://www.foodstandards.gov.au/consumerinformation/gmfoods/fsanzresponsetostudy5185.cfm
一部のメディアがAziz Aris と Samuel Leblancの発表した「カナダ、ケベックの東部の町の遺伝子組換え食品と関連する母親と胎児の農薬暴露」と題する論文[Reproductive Toxicology, in press, 2011]について憶測報道をしている。
この論文は何についてのものか?
GMおよび非GM両方の作物に使用されるグリホサートとグルホシネートの2つの除草剤と、天然に土壌細菌Bacillus thuringiensissub sp.kurstaki (Btk)が作るCry1Abについて研究した論文である。このタンパク質をコードする遺伝子が一部のGM作物を作るのに使われている。さらにこのタンパク質は有機農業や慣行農業でも直接散布する農薬として広く使用されている。この論文の著者は妊娠および妊娠していないカナダ人女性の血中や胎児の臍帯血からCry1Abタンパク質を検出したと主張している。
この論文の懸念は何か?
この論文には多くの方法論的および解釈上の欠点があり、知見や結論の食品安全上の妥当性に疑問がある。特に問題なのは検出方法の感受性と妥当性でCry1Abタンパク質が食事由来と推定するのは困難である。さらにこの論文をもとにしたメディアの報道は論文からも他の科学文献からも支持されない憶測である
Cry1Abタンパク質は、例え有機農業で散布されたものを食べた場合でもGM作物由来でも、食べる量では安全である。