食品安全情報blog過去記事

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  • ABCニュースが肥満研究のバイアスを明らかにした研究者を攻撃

Forbes
ABC News Attacks Scientist Who Exposed Bias In Obesity Research
Trevor Butterworth
Jun. 22 2011
http://blogs.forbes.com/trevorbutterworth/2011/06/22/abc-news-attacks-scientist-who-exposed-bias-in-obesity-research/
ABCニュースが「巨大食品企業の巨額の資金が栄養の科学に影響しているか」というニュースでアラバマ大学の生物統計学者David Allisonを批判した。ABCニュースはアメリカ人の肥満の流行に炭酸飲料が寄与しているのは間違いないのにAllisonが「しっかりした根拠がない」としたと言っているのは企業からの資金をもらっているせいだと主張している。しかし科学的コンセンサスがあるのはAllisonの主張の方で、ABCの主張は問題のある研究に基づいている。
Allisonの研究の重要なところは、関連が大きい研究ほど報告されやすいという明確な傾向が見られたことと、企業の資金提供のある研究は精度が高く関連が小さい傾向があるということである。企業が資金提供していない研究は、自分たちの望む結果が得られなかった場合には発表されない傾向がある。Allisonらはこの現象をホワイトハットバイアス(正義の味方バイアス)と呼んでいる。
White hat bias: examples of its presence in obesity research and a call for renewed commitment to faithfulness in research reporting
M B Cope and D B Allison
International Journal of Obesity (2010) 34, 84–88

(正義のためなら悪いことしてもいい、っていうのが地獄への一本道)

PNAS
オープンアクセス
Disruption of adult expression of sexually selected traits by developmental exposure to bisphenol A
http://www.pnas.org/content/early/2011/06/20/1107958108.full.pdf+html?sid=ceed9ed9-3317-4ace-bd9e-92136e014941
マウスの母親に餌でBPA(50 mg/kg餌)とエチニルエストラジオール(0.1 ppb)を投与して、雄の雌を探すための能力(迷路による学習と空間把握能力、探索性、雌の人気)について調べた
(心理学実験なので妥当性や意味がよくわからない。というかこの議論では雌はもともと雄より頭が悪くて探索嫌いらしいのだけれどデータを見ると個体差の変動の範囲内とは言わないのだろうか。分類も心理学・認知科学

米国小児科学会
MEDIA, KIDS AND OBESITY: IT'S NOT JUST ABOUT COUCH POTATOES
Monday, June 27
http://www.aap.org/advocacy/releases/june2711studies.htm#media2011
子どものメディア使用と体重の関係についての多くの研究がある。テレビや映画を見ている間の運動しないことが原因の一部だが、別のメカニズムもある。Pediatricsの2011年7月号に発表された声明によれば、ジャンクフードやファストフードの宣伝により、子ども達のこれらの食品が欲しいという気持ちがかき立てられること、テレビや映画を見ている間に食べることが増えることが示されている。さらに深夜の映画は睡眠を阻害し、これも肥満リスクを高くする。
メディアの影響を緩和するための、保護者に子ども達と宣伝や栄養について話し合うこと、教育的でないテレビの視聴時間を制限すること、子ども部屋にテレビやインターネット端末をおかないこと、メディア教育を促進することなどを提案している。さらに政策としてはジャンクフードの宣伝禁止や子どものメディア使用と健康や心理学的影響の研究への出資などを提案した。

  • ジャンクフードの宣伝禁止は任意ではなく強制であるべき

AMA(オーストラリア医師会)
Junk food ad ban must be compulsory, not voluntary
27 June 2011
http://ama.com.au/node/6860
新しい研究によれば、子ども達のテレビ視聴時間中のジャンクフードの宣伝自主規制は失敗した。
ファストフード企業に用自主規制から約2年、子どもの宣伝暴露は変わらなかった。
AMAの副会長であるGeoffrey Dobb教授は子どもへのジャンクフードの宣伝は、企業が自主管理できないのだから政府の規制により禁止すべきだと述べた。
Medical Journal of Australiaに発表されたシドニー大学とNSWがん協会の研究で、ファストフードの宣伝頻度が2009年8月に始まった自主規制以降変化がないことが報告された。
Advertising of fast food to children on Australian television: the impact of industry self-regulation
Lana A Hebden et al.
MJA Rapid Online Publication — 27 June 2011
http://www.mja.com.au/public/issues/195_01_040711/heb11280_fm.html