食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • BBCの科学報道には改善の余地有り

Review of BBC Science Coverage Finds Room for Improvement
20 July 2011
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/07/review-of-bbc-science-coverage.html?ref=hp
英国放送協会トラストによるBBCの科学報道についての評価報告書が発表された。
気候変動や遺伝子組換え作物、ワクチンと自閉症などのような議論のある問題については、科学的コンセンサスとごく一部の極論について平等に扱うのではなく適切な割合で提示するなどの改善の余地はあるが、他の多くのメディアに比べると良くやっている、とロンドン大学のSteve Jonesは結論している。
BBCも既にこの報告に反応して科学専門のニュース編集者を任命するなど対応すると発表している。
(まともな話と詐欺師の言い分を両論併記すれば公平だと思ってるジャーナリストって多そう。)

  • 背が高いとがんになりやすい

ScienceShot: Tall People More Likely to Develop Cancer
20 July 2011
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/07/scienceshot-tall-people-more-likely.html?ref=hp
The Lancet Oncologyにオンライン発表された論文によればがんリスクは身長10センチあたり16%増加する。ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、北米の男女データを合わせても同じ結果。
理由は不明だが可能性としては子どもの身長を大きくするホルモンががん細胞の増殖も同時に刺激している可能性がある。
Height and cancer incidence in the Million Women Study: prospective cohort, and meta-analysis of prospective studies of height and total cancer risk
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 21 July 2011
doi:10.1016/S1470-2045(11)70154-1
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045%2811%2970154-1/abstract

  • 規制を避けて通る遺伝子組換え芝

Natureニュース
Transgenic grass skirts regulators
Published online 20 July 2011 | Nature 475, 274-275 (2011)
http://www.nature.com/news/2011/110720/full/475274a.html
新しい遺伝子組換え技術を使ったGM芝に対して、USDAは規制の権限を持たないと発表した。
このケンタッキーブルーグラスPoa pratensisは芝生管理会社Scotts Miracle-Groが開発中のものでグリホサート耐性で芝の雑草管理が簡単になる。7月1日にTom Vilsack農務長官がこの会社に他のGM作物と同じ規制の対象ではないという文書を送った。同社はこの植物を市販する計画はないが、このことは通常のGM作物に要求される何年にも渡る環境試験や意見募集をしなくて済むことを意味する。規制対象外になったのは法律上の問題で、植物病原体から植物を守るためにできた法律でGM植物が規制されているためである。新しい組み換え技術では植物自身がもつ配列を使って遺伝子銃で遺伝子を組み込んでいるためUSDAの規制にかからない。法律が技術に追いついていない。

  • 子どもの遊び場はあまりにも安全?

NYTimes
Can a Playground Be Too Safe?
July 18, 2011
http://www.nytimes.com/2011/07/19/science/19tierney.html?_r=1
子どもの遊び場に安全第一主義が取り入れられた結果シーソーやジャングルジムや滑り台が無くなって久しい。大きな子どもはつまらない遊具では遊ばなくなったし、小さな怪我を恐れた結果大きな怪我が増えている。

  • 野菜や果物はしばしば捨てられている

Fruits, veggies often end up in school trash
Jul 18th, 2011
http://www.ednewscolorado.org/2011/07/18/21321-fruits-veggies-often-end-up-in-school-trash
ラブランドの学校で提供されている野菜や果物の1/3から1/2が捨てられている。

  • 湾岸シーフードの検査

C & ENニュース
Testing Gulf Seafood
July 18, 2011  Volume 89, Number 29 pp. 12 - 16
http://pubs.acs.org/cen/coverstory/89/8929cover.html
重油流出事故後のシーフードの汚染検査の結果問題はほとんどなかったが、一般の人々と一部の科学者は安心していない
メキシコ湾の重油流出事故で490万バーレルの重油が湾内にあふれ、そのうち17%が回収され8%近くが燃やされたりしたと推定されている。1/3以上が蒸発したり希釈されたと考えられ、16%が化学的に分散された。残り約100万バーレルの行方は定かではない。
FDAとNOAAとEPAは協力してシーフードの検査と再開を行ってきた。最も懸念されたのは発がん性のある多環芳香族炭化水素で、サーベイランスは現在も継続している。
消費者保護とシーフード産業の再開希望とのバランスをとるためには、正確で信頼できて迅速な分析方法が必要だった。検査法そのものは妥当であっても、環境活動家や大学の研究者らは政府のリスク評価に懸念を表明していた。
カキは汚染物質を取り込むのが最も速く保持時間も長いが魚はPAHをより速やかに排出する、甲殻類はその中間、などという知見をもとにFDAがシーフード中の懸念レベルを「極めて保守的なレベルで」(ppbから数百ppmまで)設定した。シーフードはまず訓練された検査官により臭いや味などの官能検査をし、失格の場合漁場は閉鎖される。官能検査に合格した場合は化学分析にかけられる。分析には新しく開発されたLC/FD法が用いられた。
環境団体等はFDAのリスク評価に使った数値が以前の流出事故と違う、体重や摂取量推定が過小だ、PAHの種類が少ない、ヒ素カドミウムなどの重金属はどうなのか明らかではないなどと主張している。
(モノが何であっても同じ構図。)