食品安全情報blog過去記事

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食品中ヘキサブロモシクロドデカン類(HBCDDs)についての科学的意見

Scientific Opinion on Hexabromocyclododecanes (HBCDDs) in Food
EFSA Journal 2011;9(7):2296 [118 pp.].
26 July 2011
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2296.htm
HBCDDは包装用材や繊維製品の難燃性添加物である。工業用HBCDDは主に3つの立体異性体(α-、β-、およびγ-HBCDD)からなる。δ-およびε-HBCDDも極低濃度存在する。HBCDDは環境中に存在するので食品や飼料中にも存在する。ヨーロッパ7か国から2000-2010年の1914の食品中のHBCDDデータが提出された。CONTAMパネルはα-、β-、およびγ-HBCDDを対象に評価した。毒性の標的は主に肝臓、甲状腺ホルモン恒常性、生殖器系、神経系、免疫系で、遺伝毒性はない。クリティカルエンドポイントは行動への影響で、BMDL10を0.79 mg/kg体重と導出した。現在のデータが限られたものであることと不確実性が大きいため、この値を安全性に基づくガイドライン値として使うのは不適切であると考え、MOEアプローチを用いた。動物とヒトではHBCDDの排出が異なるため、MOEのスタートポイントとしては体内負荷量を用いた。
現在のEUにおけるHBCDDの食事からの暴露量(ng/kg b.wレベル)は暴露マージン700-3000の範囲で、健康上の懸念とはならない。小さい子どもがハウスダストなどから追加の暴露を受けた場合、ダストのみの暴露はMOE約500で、総暴露のMOEが上限の暴露量で300-390であり健康上の懸念とはならない。