食品安全情報blog過去記事

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  • ライム病主張者に関連する反科学と倫理的懸念

Antiscience and ethical concerns associated with advocacy of Lyme disease
Paul G Auwaerter et al.,
The Lancet Infectious Disease Volume 11, Issue 9, September 2011, Pages 713-719
AIDSのウイルス原因説を否定しワクチン接種を拒否して根拠のない代替医療を薦める反科学運動の中で、ライム病の主張者が大きな役割を担うようになってきた。一部の活動家は、地理的に限定されたダニによる病気であるライム病を、潜行性の、遍く存在する、診断が困難で、治療がほぼ不可能な病気であるとし、この病気が引き起こす主に非特異的な症状は、長期抗生物質投与やその他の異端で根拠のない治療法によってのみ治療できると主張している。他の反科学グループと同様、彼らは疑似科学代替医療治療者をすすめ、本を出したり研究と称するものを行い、陰謀論を広め、根拠に基づいた医療やピアレビューされた科学を転覆しようと司法に圧力をかけたりしている。このような活動家や治療者、宣伝は公衆衛生の脅威である。
(結構長い文章。自閉症多発性硬化症パーキンソン病、殺人、アルツハイマーなどいろいろな病気の背景にライム病があると主張する人達。ライム病そのものは原因もわかっていて治療法もある。インチキ団体の代表的なものが“Lyme literate medical doctors” (LLMDs)。日本語版ウィキペディアにもこの反科学に影響されたらしい嘘の記述がある。)

  • 高血圧診断と治療に大きな変化

Radical change in blood pressure diagnosis and treatment
23-Aug-2011
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-08/uol-rci082311.php
NICEが英国高血圧学会と共同で新しい高血圧ガイドラインを発表した。
大きな特徴は、高血圧の診断は24時間モニタリングの結果によるというところ。ガイドラインの座長のBryan Williams教授の推定ではこれにより英国で現在高血圧と診断されている人の25%が高血圧でないと診断され治療が必要なくなるだろう。
研究論文はLancetに同時に発表された。
Cost-effectiveness of options for the diagnosis of high blood pressure in primary care: a modelling study
The Lancet, Early Online Publication, 24 August 2011
doi:10.1016/S0140-6736(11)61184-7
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)61184-7/fulltext
NICEのガイドライン
Hypertension
http://guidance.nice.org.uk/CG127
24時間血圧測定で高血圧であっても、標的臓器の障害などの指標で何もなければ薬物治療にはならない。
まずライフスタイル介入で、項目は適切な食生活と運動、過剰飲酒の中止、コーヒーなどのカフェインの摂りすぎをやめる、ナトリウム削減または代用塩の使用、禁煙、血圧低下のためのカルシウムやマグネシウムカリウムサプリメントは提案しない、リラクゼーションセラピーは患者がしたいならやってみてもいいが医師や看護士などが定期的に提供するのは薦めない。