食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 漢方薬の21世紀のデータベース発表

21st century database of traditional Chinese medicine released
18-Oct-2011
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-10/kcl-2cd101811.php
King's College Londonの研究者が漢方薬の化合物成分に注目した包括的データベースを開発し、今月発表する
Chem-TCM データベースには300以上の生薬と12000の生理活性化合物が含まれる
(有料かなhttp://www.chemtcm.com/

  • メディアのガス問題

STATS
The Media's Gas Problem
By S. Robert Lichter, PhD, October 18, 2011
http://www.stats.org/stories/2011/medias_gas_problem_oct6_11.html
人々がしばしば気がついていないことは、メディアが科学研究を取り扱う枠組みには、本人が気がついていてもいなくてもジャーナリスト自身の視点が含まれるということである。その劇的な例が最近の天然ガスの水圧破砕(フラッキング)に関する2つの研究の報道である。
天然ガスは比較的クリーンなエネルギー源と見なされており、近年水圧破砕などの技術により利用できる資源が増えている。この技術を大規模に使うことについての議論が行われているが、一部の環境団体が影響を懸念しているためメディアの関心も高まっている。最近フラッキングが健康や環境に与える影響から支持するおよび反対するという2つの論文が発表された。メディアの2つの論文の報道状況は、批判的な論文が24紙にとりあげられ、支持する論文は2紙にしかとりあげられず、そのうちひとつの記事はもう一つの論文を主に取り上げていたものだった。
(以下記事内容の詳細な検討)
この話からわかることは、読者はメディアがマッチポンプをやっている可能性に注意すべきということである。メディアが科学を報道するときは構造的バランスの悪さがありそれは改善されないだろう。ニュースを読む場合は、科学報道における最もインチキな見出しは「新しい研究で〜が示されました・・」である。

  • 放射線遺伝学者への攻撃が騒動を引き起こす

ScienceInsider
Attack on Radiation Geneticists Triggers Furor
18 October 2011
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/10/attack-on-radiation-geneticists.html?ref=hp
2人の放射線遺伝学者が60年以上前の科学的根拠を隠していたという主張が科学者と科学史家の激しい議論を引き起こしている。問題になっているのは随分前に死亡したこの分野の大物である1947年のノーベル医学生理学賞受賞者Hermann Mullerと、Mullerと共同研究したことのあるCurt Sternの遺産である。
マサチューセッツ大学アムハースト校の毒性学者Edward Calabreseが、最近の2つの論文でMullerとSternが極めて低用量の放射線は害がないという根拠を軽視したと結論し、Mullerがストックホルムでのノーベル賞受賞スピーチで最先端の科学についてわかっていながら間違ったプレゼンをしたと主張している。この歪みが、今でもリスク計算に影響しているとCalabreseは言う。
この痛烈な批判が2人の科学者の支持者を怒らせた。MullerとSternの仕事は現在の放射線安全性規制の基礎となっており、1956年に二人が委員となって作成したNASの報告書BEAR Iが提出したパラダイムは今日まで低用量放射線暴露の厳しい制限につながっている。
Calabreseはホルミシスの仕事で有名で、自然のバックグラウンドがもう少し高いほうがヒトの健康には良いだろうとも言っている。「我々は放射線欠乏環境に住んでいると信じている」。しかし現状の規制はいわゆる線形閾値無しモデルにもとづいており、どんなに低い暴露量でも用量に依存して影響があるとしている。Calabreseはこのモデルがどのようにして第二次世界大戦後に優性になったかについて興味をもった。そして9月と10月に発表した2つ論文で過去の文献やMullerとSternの手紙を調査した研究結果を報告した。
この分野の起源は1927年にMullerがX線ショウジョウバエ生殖細胞の突然変異を誘発することを発見したことに始まる。彼は放射線の用量反応を調べ線形関係の根拠を発見する。1930年代と40年代の研究で中程度から高い線量での直線関係を確認した。しかし実験が難しい低線量については疑問が残った。1946年にノーベル賞を受賞したとき、Mullerは低線量問題の答えを探していた原子力エネルギー委員会の出資した2つの大きな研究のコンサルタントをしていた。Sternがリーダーだったこの研究で、ひとつは低線量でも直線、ひとつは閾値有りという結果が出た。Mullerはストックホルムでのノーベル賞受賞講演に行く前にSternの論文を受け取り、Sternに手紙を書いている。その手紙からは閾値があるという結果の重要性を認識していたことが伺えるが、ストックホルムでは閾値が無いという結果を信じているという話をした。Calabreseはこれを不誠実だと主張する。
(以下他にもいろいろと賛否両論略。)