食品安全情報blog過去記事

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チェルノブイリ後の農場制限解除について意見が必要

Views needed on lifting of post-Chernobyl farm restrictions
Thursday 17 November 2011
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2011/nov/chernobylconsult
FSAはチェルノブイリ後の英国のヒツジ農場に対するコントロールや関連規制を全て解除するかどうかについてパブリックコメントの募集を開始する。
旧ソ連チェルノブイリでの原子力発電所の事故から25年経って、現在英国のヒツジ農場で規制対象になっているのはわずかである。この規制は英国の高地の一部に放射能汚染があったために行われていた。
最初は主に放射性セシウムによる放射活性が許容できないレベルのヒツジがフードチェーンに入らないように規制された。食品安全上の懸念は現在は極めて低く、当初規制されていた農場のうち9800は既に解除された。現在も何らかの規制があるのはウェールズ北部の334農場とカンブリア8農場だけになっている。北アイルランドでは2000年に、スコットランドでは2010年に全ての規制が解除されている。
放射線レベルの評価
FSAは最近規制対象農場のヒツジについて放射性セシウム濃度の詳細な調査を行い、この結果を用いて消費者への放射線暴露を評価した。調査の結果基準値を超える放射性セシウムはほとんどなく、たとえ最も大量に暴露される消費者であってもリスクは極めて低い。
この評価は独立のピアレビューを受け、イングランドウェールズでの規制が撤廃されたとしても消費者へのリスクは極めて低いだろうことを示している。この規制は今となっては食品安全上の極めて低いリスクに見合うとはみなされず、最早必要ない。
意見募集の詳細は以下から
Lifting of Post-Chernobyl Sheep Controls
http://www.food.gov.uk/consultations/ukwideconsults/2011/removalpostchernobylsheepcontrol
意見募集は2012年2月8日までで、選択肢は規制加除をするかしないかの2つ。

  • 報告書

An Assessment of Radiocaesium Activity Concentrations in Sheep in Restricted Areas of England and Wales and Potential Consumer Doses
http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/chernobylassessment.pdf
1985年に行われたヒツジモニタリングでは、生きたまま測定して1000 Bq/kg以上の放射性セシウムが検出されたら食用にはしないことにしていた。現在規制対象になっている農場の測定の結果では平均が<160Bq/kgから739 Bq/kg、最大が<160 Bq/kg から 1433 Bq/kgで、78農場のうち4農場だけで1000 Bq/kg以上のヒツジが検出され、その4農場のうち1000Bq/kg以上が検出される割合は2.5%を超えない。従ってこれ以上規制を継続しても消費者の被曝量を抑制するのにほとんど影響しない。
(測定は生きたヒツジにサーベイメータを使い、換算式を当てはめて行っている。だから一時的に高い数値が出ても次に下がれば問題ないので、家畜を無駄にしない。消費者の暴露量は集団毎に確率論的推定。全体を見るので、高いものが少しあったからといって大騒ぎする日本とは違う。日本だったら1検体でも超過があったら解除なんて許されないという反応になるような気がする。それはリスク評価ではない。)