食品安全情報blog過去記事

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下痢性貝毒中毒 フランス2009年、イガイ

Diarrheal shellfish poisoning - France: 2009, mussels
2011-11-19
http://www.promedmail.org/direct.php?id=20111119.3410
Eurosurveillance, Volume 16, Issue 46より
フランスで2009年の6月3日から9日に発生したイガイによる45人が関与する11の下痢性貝毒DSP)アウトブレークについて、毒素等の詳細調査を行った。
問題の貝の脂溶性毒素(オカダ酸と渦鞭毛藻毒素類)をマウスバイオアッセイとLC-MS/MSで測定した。マウスバイオアッセイはEUの規制値である160 microg OA当量/kg貝の身以上の毒素が含まれることを示し、LC-MS/MSでのOAとDTXの分析から総OA濃度1261 microg OA当量/kg 貝の身だった。
中毒の原因となった貝の採取地域では貝毒リスクのある期間(5月から8月)は毎週サンプリングと検査を行っていた。月曜か火曜に採取し結果は木曜日か金曜日に通知され、貝の採取が可能かどうか決定されていた。25 May 2009採取分の検査結果は陰性で、1 Jun 2009の採取分は陽性だった。この僅かの期間に渦鞭毛藻が5倍に増加しイガイの毒素濃度が急激に高くなった。このことは効果的なモニタリングが行われていても急に貝が汚染されて健康被害を招く可能性があることを示す。このような状況を予防するために、マウスバイオアッセイではなくLC-MS/MSによる定量化が望ましい。
この調査で得られたデータはEFSAが2006年に設定したLOAELの 50 microg OA eq/人 または 60kgの成人で0.8 microg OA eq/kg 体重、を支持する。