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Lancet Neurologyの特集

エディトリアル:根拠と実践のギャップを埋める
Stroke research: closing the gap between evidence and practice
The Lancet Neurology, Volume 11, Issue 1, Page 1, January 2012
2012年2月にニューオーリンズで国際脳卒中会議が開催される。ここで基本的臨床研究の最新知見を共有し、最終的には予防や治療戦略に用いることが目標である。Lancet Neurologyの2012年1月号はその特集である。
過去数十年の間にライフスタイル要因の変化に伴って脳卒中の頻度も増加してきた。ライフスタイル要因や栄養と脳卒中の関連についてはGraeme Hankeyが包括的にレビューしている。栄養不良と脳卒中の間には明確な関連があり、費用対効果の高い脳卒中予防戦略の1つとして集団レベルでの減塩がある。米国では1日の塩の摂取量を3g減らすと年間の脳卒中新規発症数が32000から66000減ると推定されている。しかし各種栄養素や食品、食事パターンの脳卒中リスクへの影響は理解するにはもっとしっかりした根拠が必要である。(略)
この特集のレビュー4つ
・栄養と脳卒中リスク
Nutrition and the risk of stroke
Graeme J Hankey
母親の人生の最初の一年の栄養不足と子宮内、乳幼児期、成人期の栄養不良は後の人生で脳卒中をおこしやすくするがそのメカニズムは不明である。栄養の摂りすぎもまた肥満や高血圧や高脂血症や糖尿病を増やすことにより脳卒中リスクを増加させる。抗酸化ビタミン類、ビタミンB、カルシウムサプリメント脳卒中リスクを削減しないという信頼できる根拠がある。信頼性は劣るが地中海食やDASH食、塩と添加された砂糖が少なくカリウムが多く必要なエネルギー需要を満たすが超えないような賢明な食生活は脳卒中を予防できるかもしれないことを示唆する根拠がある。現在ビタミンDと海洋性のオメガ3脂肪酸サプリメントによる脳そっちゅへの影響についての臨床研究が進行中である。今後の課題は多くの栄養や食品、食事パターンの脳卒中リスクとの関連についてのエビデンスの質を上げることである。

・女性の脳卒中リスク:閉経とホルモン療法の役割
Stroke risk in women: the role of menopause and hormone therapy
Lynda Lisabeth, Cheryl Bushnell

・偏頭痛と脳卒中:臨床上の意味のある複雑な関連
Migraine and stroke: a complex association with clinical implications
Tobias Kurth, Hugues Chabriat, Marie-Germaine Bousser

・脳内出血合併症
Complications of intracerebral haemorrhage
Joyce S Balami, Alastair M Buchan