食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

主任科学者のデスクから

From the desk of the Chief Scientist
19 December 2011
http://www.foodstandards.gov.au/scienceandeducation/scienceinfsanz/fromthedeskofthechie5381.cfm
FSANZのシリーズ記事、最初はFSANZの主任科学者Paul Brent博士がFSANZの直面している問題についての見解を述べる。
絶え間なく進化する科学の課題に対応する
世界に生み出されている科学的情報の量や複雑さは増加し続けている。この新しい情報は速やかに伝えられ、レギュラトリーサイエンスの担当者や担当機関に新たな情報を吸収して迅速に意見を策定するという課題を生み出している。
一般的に科学的プロセスにおいては、問題や疑問が同定され、その問題に直接対応するするための科学的根拠に基づいた研究が系統的に行われ、その知識を用いて問題が適切に同定され理解されていることを確認する。しかしながら時間が経って新しくより質の高い根拠が入手できると科学的意見は変わる可能性がある。一時人々は世界が平面であると考えていた。もちろんこの信仰は真の科学にもとづいたものではなかった。水平線から陸に向かってくる船を観察すると、最初は帆柱のてっぺんが見え、次いで帆が見えそして船全体が見えるようになる。これをもとに世界は丸いという理論が提案され、後にさらなる観察とより多くののデータで証明された。
他の食品基準担当機関同様、FSANZはその時点で入手できる最良の、しっかりした科学的根拠にもとづき食品の安全性基準を作る。科学的根拠というのは、通常自然世界を理解するために行われる観察・実験・再現・概念形成プロセスから得られる知識を意味する。しかし科学的プロセスは完全ではなく全ての根拠が同じ質であるとは言えない。方法論やレビューの程度あるいは欠如、再現性の無さなどが研究の質を評価するのに使われる。
複雑な問題についての知見にも大きな不確実性がある。もし新しい信頼できる科学的根拠が集められ、国際的に認められた基本原則に従って妥当性を評価されれば、FSANZはその情報を批判的にレビューし、それが根拠にもとづき適切である場合には消費者の健康と安全性を守るために対応するだろう。
このために我々は食品技術や微生物学的安全性、化学物質安全性、毒性学、薬理学、分子生物学、栄養学、食品組成、食事曝露モデル作成、食品供給サーベイランスのような食品の安全性を維持するのに必要な分野の科学的専門性を磨いてきた。さらに根拠の欠けているところや新しい課題に取り組むために、消費者研究、規制及び経済解析、疫学などの分野の新しいスタッフも採用してきた。我々の同僚科学者の多くはその分野での国や国際的専門家で、WHOやFAO、OIE、コーデックス、OECDなどによる国際会議に参加している。根拠を注意深く調査し客観的な決定をして我々の食品供給を世界で最も安全なもののひとつにするのは、我々の信頼するこれら専門家である。