食品安全情報blog過去記事

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リスク管理者にとっての必要性の観点からのリスク評価の改善に関する予備的意見にパブリックコメント募集

Public consultation on the preliminary opinion concerning Improvement of Risk Assessment in View of the Needs of Risk Managers
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consultations/public_consultations/scher_consultation_07_en.htm
2012年2月21日まで
食品以外の科学委員会の間で協調のための作業委員会を設立して現在のリスク評価についてレビューしていた。問題意識としては現在行われているリスク評価が本来あるべきほどにはリスク管理にとって有用な情報を提供していないというもの。この予備的レビューの主な結論は
・リスク評価の結果はもっと政策にとって妥当性があるものである必要があり、そのためにはリスク評価者とリスク管理者の間、およびリスク管理の選択肢の評価についてより多くの対話がなされるべき。
・リスク評価は、それが適切な場合は、技術的代用可能性というよりヒトや生態系への価値に関連した観点で表現されるべき。これによりリスク評価者と社会経済学者の対話がより促進されるだろう。
・リスク評価報告書を以下の点で改善すべき:異なる可能なシナリオの評価を含む;最も感受性の高い亜集団や種に注意しながらリスクのある集団や生態系の全体を十分性質決定する;不確実性について明確に表現する;根拠のない仮説を用いた場合は明確に開示する
(食品ではないけれど今の日本にとって極めて重要なテーマ。基本として何のためにリスクを評価するのかがリスク管理者とリスク評価者の間で共有されていないと意味がない。さらにリスク管理の選択肢をいくつか提示してそれぞれの場合にどういう結果が予想されるかまで提示しろということ。この報告ではリスク評価者は社会に与える影響や費用対効果まで評価することを求めている。この提言に従えば、食品安全委員会は食品の放射能基準値をどこまで下げるとリスクがどう変化するかまでのシナリオを提示しろということになる。現状既に食品から検出されているレベルは十分低いので基準値の引き下げによるリスクの実質的低減はほぼないけれど費用負担は上がるだろう(だから厚生労働省は「安心のため」と説明しているわけで)。そういう一連の検討をするのが「科学的根拠に基づく」ということなのだが)