食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 「お店の棚全てに乳がんリスク」?

Sense about science
For The Record
"Breast cancer 'risk' all over shops' shelves"?
12 January 2012
http://www.senseaboutscience.org/for_the_record.php/83/quotbreast-cancer-risk-all-over-shops-shelvesquot
2012年1月12日のSunの記事が、多くの食品や化粧品に使用されているパラベン保存料が乳がんリスクと関連することを示唆した。この記事はJournal of Applied Toxicologyに発表された、乳がんから採取した組織からパラベンが検出されたという研究を紹介している。記事ではいろいろな摂取源からパラベンに曝露されることで乳がんになる可能性が増えるかもしれないことを示唆している。
我々の「化学物質の話を理解するためのガイド」で、化学物質が人体に存在することはそれが有害影響があることを意味しない、ということを説明している。我々の人体には合成や天然の、多数の物質が微量含まれ、そのうちいくつかは一定量で有害だったり有益だったりする。化学物質の存在が問題になるかどうかはそれがどのくらいの量でどのような影響があるのかを知る必要がある。
Dr Caitlin Palframan
この研究は乳がんパラベンについて関係を示したものではない。乳腺にパラベンが存在する可能性については既に知られており、それについて女性が心配すべきことを示唆する根拠はない。
Richard Sharpe教授
我々の自然環境にはパラベンを含む多数のホルモン作用をもつ化学物質が存在する。このような「弱いエストロゲン」は、生殖可能年齢の女性が自然に作るエストラジオールの活性の数千分の一以下である。ごく微量の弱いエストロゲン作用物質に曝露されると乳がんリスクが上がるという懸念は推測に過ぎない。

  • エネルギードリンク:健康リスクと毒性

Energy drinks: health risks and toxicity
Naren Gunja and Jared Brown
MJA 2012; 196 (1): 46-49
http://www.mja.com.au/public/issues/196_01_160112/gun10838_fm.html
オーストラリアの中毒情報センターに寄せられた2010年までの7年の記録からエネルギードリンクによる報告を解析した。297の報告があり、2004年の12件が2010年には65件に増加した。年齢は中央値が17才、57%が男性。100例がアルコールやその他のカフェイン入り製品と同時に使用していた。レクリエーションで使用していたヒトのうち症状を経験していたのは87%で、多いのは動悸、興奮、震え、消化管の不快症状などで、21人は幻覚や発作、不整脈、心虚血など重大な神経や心臓の症状を示した。
製品別ではレッドブルが一番多い。

  • ソーダ税は本当に26000人の命を救い数十億ドルを節約するか?

Forbes
Will A Soda Tax Really Save 26,000 Lives, Billions Of Dollars?
Trevor Butterworth,
1/12/2012
http://www.forbes.com/sites/trevorbutterworth/2012/01/12/will-a-soda-tax-really-save-26000-lives-billions-of-dollars/
Health Affairsに発表されたWang らの論文“A Penny-Per-Ounce Tax On Sugar-Sweetened Beverages Would Cut Health And Cost Burdens Of Diabetes”は興味深い推定の羅列である。25-64才の砂糖入り飲料を飲む量が15%減ると240万人−年の糖尿病患者と95000の冠動脈イベントと8000の脳卒中と26000の早期死亡が減り170億ドルの医療費が減り課税収入は130億ドル増えるという。
しかしこの計算は正しいのか?例えば平均で年に45ガロン(170Lくらい)の砂糖入り飲料を飲む場合、1オンスあたり1ペニーの課税では年に57.60ドルの税金で、4人家族なら税金は230.40ドルである。Wangらはこれで15%摂取量が減り、課税額は年196ドルになるだろうという。一方Wangはこの課税による低所得者層の食費への影響として「たとえ課税により40%値段が上がっても年に30ドル程度の小さな影響しかないだろう」と言っている。これは彼らが全く異なる方法で推定された数字を都合のいいところで選択的に使っているための問題である。
しかしより大きな問題はソーダ税を平均摂取量で考えているところである。ソーダの摂取量は多いヒトと少ないヒトで大きく違う。そして大量にソーダを飲んでいる人達は他の高カロリーの食品も大量に食べている。
メディアやソーダ税推進者がこのような問題点を無視しているというのも問題がある。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120112#p23の件。大げさな数値を出して失敗すると信用無くすだけだと思う。)

Forbes
Garbage In, Anti-Nuclear Propaganda Out: The 14,000 Death Fukushima Lie
1/11/2012
Josh Bloom
http://www.forbes.com/sites/realspin/2012/01/11/garbage-in-anti-nuclear-propaganda-out-the-14000-death-fukushima-lie/
私は今までたちの悪い研究や無責任なニュースの見出しをいくつか見てきた。でも先週2人の反核活動家は両方の見事な例をやろうとした。タイトルそのものが宣伝だが「福島からの放射性プルームの到着により米国で予期せぬ死亡率の増加:関連はあるか?」
Joseph Manganoと Janette Sherman両博士がInternational Journal of Health Servicesに、日本の福島第一原子力発電所の事故により5000マイル以上遠くの米国で14000人もの過剰死亡がおこったと主張している。この理論はあまりにも多くのレベルで非常識で、どこから手をつけていいのかわからない。