食品安全情報blog過去記事

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ヨーロッパ人におけるカドミウムの食事曝露

Cadmium dietary exposure in the European population
EFSA Journal 2012;10(1):2551 [37 pp.].
18 January 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2551.htm
カドミウムは腎不全を誘発しがんリスクの増加とも統計学的に関連する。非喫煙者では食事が主な暴露源である。JECFAは暫定耐容月間摂取量を25 microg/kg体重に設定し、一方EFSAのContamパネルは全ての消費者の十分な保護を確保するために暫定耐容週間摂取量を2.5 microg/kg体重に設定した。食事からの主な摂取源をより良く知るために、ヨーロッパの市場にある食品のカドミウム濃度をレビューし詳細な個別食品の摂取量データを用いて暴露量を推定した。カドミウム濃度が多かったのは藻類製品、ココアベースの製品、甲殻類、食用内臓、キノコ、油糧種子、海草、水棲軟体動物であった。生涯の食事からのカドミウム暴露量推定では中央値で全体週間平均は2.04 microg/kg体重で95パーセンタイルは3.66 microg/kg体重だった。個別の食事調査では異なる食習慣と調査の方法論により、週間の最小下限平均(minimum lower bound average)1.15から最大上限平均(maximum upper bound average)7.84 microg/kg体重、最小下限95パーセンタイル2.01から最大上限95パーセンタイル12.1 microg/kg体重と幅があった。カドミウムの食事曝露には大量に食べる食品が大きな影響がある。より幅広い食品分類でもそうで、穀物及び穀物製品(26.9%)、野菜及び野菜製品(16.0%)、でんぷんの多い根や根茎(13.2%)であった。より詳細な分類を見るとジャガイモ(13.2%)、パンやロール(11.7%)、菓子類(5.1%)、チョコレート製品(4.3%)、葉菜(3.9%)、水棲軟体動物(3.2%)の寄与が大きい。このレビューで、子どもと成人の95パーセンタイルの暴露量が健康をもとにしたガイドライン値を超過していることが確認された。
EFSAは現在の食事からの暴露量で個人に有害影響がおこることはありそうにないが、安全性マージンが少ないために集団レベルでカドミウム曝露を減らす必要がある、と結論している。