食品安全情報blog過去記事

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CDCの研究は米国白人成人の血中トランス脂肪酸濃度は減少したことを見いだした

CDC study finds levels of trans-fatty acids in blood of U.S. white adults has decreased
February 8, 2012
http://www.cdc.gov/media/releases/2012/p0208_trans-fatty_acids.html
JAMAに発表されたCDCの調査によれば2000年から2009年の間に米国の白人成人の血中トランス脂肪酸濃度は58%減った。
CDCは2003年にFDAが製造業者に栄養成分表示にトランス脂肪酸量の表示を求めた規制(2006年発効)の前である2000年と後である2009年のNHANESの参加者を選んで血中濃度を測定した。

  • Levels of Plasma trans-Fatty Acids in Non-Hispanic White Adults in the United States in 2000 and 2009

http://jama.ama-assn.org/content/307/6/562.full
測定したのは2000年が229人、2009年が292人で、全てのサンプルでトランス脂肪酸が測定可能だった。バクセン酸が43.7 micromol/Lから19.4 micromol/Lに、エライジン酸、パルミトエライジン酸、リノエライジン酸についても同様の傾向で4種のトランス脂肪酸の合計の平均は2000年より2009年が58%低い。

  • ついでにJAMAから

○スクリーニングの害:古い懸念に新たな注目
The Harms of Screening
New Attention to an Old Concern
JAMA Viewpoint
JAMA. 2012;307(6):565-566. doi: 10.1001/jama.2012.100
Steven H. Woolf, MD, MPH; Russell Harris, MD, MPH
http://jama.ama-assn.org/content/307/6/565.extract
アメリカ人は検査が大好きで、特にがん検診は。がんなどの命に関わる状態を初期に検出できるなら何が悪い?費用がかかるから?命を削ってお金を節約するのか?
しかし検査を制限するのは費用が理由ではない。問題はメリットとデメリットのバランスである。検診の有害影響は現実的なもので、大きさには議論があるが存在することは否定できない。検診には検査による病気(内視鏡で傷つけるといったような)や異常値が出た場合の不安、フォローアップのための検査や治療などを生み出す。過剰診断により健康にはあまり関係ない治療を増やす。
(PSAやパパニコロー検査、マンモグラフィなど)
患者に事実を提示して判断してもらうというアプローチは、(擬陽性の確率とか患者自身の背景とかで複雑な統計概念を扱うことになるので)医師にとってはコミュニケーションが、患者にとっては理解が困難である。

○ノセボ効果、患者と医師のコミュニケーション、治療の結果
Nocebo Effects, Patient-Clinician Communication, and Therapeutic Outcomes
Luana Colloca, MD, PhD; Damien Finniss, MSc Med
患者が負の期待をもつことによる有害事象(ノセボ効果)についての研究が進んできている。インフォームドコンセントにおけるノセボ効果を避けるための努力が必要。
http://jama.ama-assn.org/content/307/6/567.extract
(どちらも医療の話ながら、日本の放射性物質対応について、何のための検査なのかとか理解するのが難しい科学的話題をどう取り扱うのかという共通の課題。新しい問題じゃないのに。)